2008年09月24日

「厳しい」と「悪い」は違う 〜いわゆる「ブラック企業」について

■どんな企業が「ブラック企業」と呼ばれているのか?

「ブラック企業」という言葉が、ここ数年インターネット上を中心にいろんな場所で語られています。
「あそこはブラックですか?」という質問もよく頂きます。

そもそも「ブラックとは何か」という定義を知らなかったので、答えようがなかったのですが、気になって調べてみると、かなり曖昧な言葉です。
そして曖昧な言葉にかぎって流行して、まるで世の中には「ブラック企業」という客観的に規定された企業があるのだと誤解されたままイメージだけが流通するものです。

私は最初、組織ぐるみの犯罪行為を行っている企業のことを「ブラック」と呼んでいるのかと思いましたが、
いろいろ聞いたり読んだりしてみると、ノルマが厳しい体育会系の会社や、労働時間が長い会社も「ブラック」に分類されているようで、
大きく分類すれば、下記の3要素のうちの一部もしくは複数を持っている企業が、ブラックと呼ばれているようです。

1.キツい (労働時間が長い、休日出勤がある、その割に低賃金)
2.厳しい (ノルマが厳しい、評価が厳しい、叱責などが多い)
3.悪い  (犯罪行為を行っている。違法行為を意図的に行っている)


この全てを満たしていれば、ブラックと言いたくなる気持ちはよく理解できます。
しかし、ただ仕事がキツいとか、ノリが体育界というだけでブラックと呼ばれるケースもあったり、
主観的な好き嫌いを企業の評価に持ち込んでいるケースがみられます。

■本当にブラックか?
例1.
新人は飛び込み営業を、半年間行う。
ノルマが厳しく、未達成だと厳しく叱責される。

こういう情報だけで「ブラックだ」と言われるケースが多々あり、それは誤解を招きやすい使い方だと思います。

この程度の情報だけでその企業はブラックだと言う人は、ただ「自分には営業が合わない/したくない」と言っているに過ぎません。

ある種の人にとっては、デスクワークでずっと数字を眺めるよりも、ノルマをもって飛び込み営業するほうがよほど楽です。
ノルマのない営業など考えられないし(無いとはいいませんが)、誰かが飛び込まなければ、新規の顧客をだれが開拓するのでしょうか?

誰かがやらなきゃいけないのに、自分が苦手なことをやらされる企業のことを「ブラック」だと言うなら、それは「ブラック」ではなく、「自分が行きたくない会社」というべきです。
そこでいきいきと働いている人もいれば、そこで高い成績をあげていい給料をもらっている人もいます。
厳しい環境で営業力を養うのは、営業系の会社の宿命であり一つの個性です。
もちろん暴力など違法な行為は責められるべきですが、営業=キツい=ブラックという単純な連想ゲームをしていては、企業について何も理解できません。
例2.
成績の低い社員が、厳しい研修プログラムに配属されたり、仕事を与えられないなどで、退職に追い込まれる

いわゆるリストラの一部ですが、こういう企業も一部でブラックと呼ばれています。
これも判断は難しいところです。
もちろん会社は新卒で採用したなら、その人の能力を引き出す努力をしなければいけません。
しかしそれでも成績のずっと低い社員が会社にたくさん残っていて、そのまま中堅層になっているとしたら、その会社は若い社員にとって魅力的でしょうか?
彼らを雇い続けることで、人件費が圧迫され、若手のみならず、正社員になかなかなれない派遣社員、契約社員にしわ寄せが来ているのではないでしょうか?

■誰にとっての「ブラック」なのかが重要

つまり、誰かが「ブラック」と言っても、別の誰かにとっては「いい会社」であったりします。

全てがブラックな会社はありません。誰かにメリットがあるからこそ、企業は成立しています。
また、一点の曇りもない真っ白な企業というものもありません。
「社員は家族」と終身雇用を高らかに宣言している大手メーカーも、その結果日雇い派遣を酷使することになり、ようやくそれが知られてきました。それはブラックでしょうか?ホワイトでしょうか?
光と影はあらゆる場所で存在しています。マスコミで褒めている企業はいい企業、マスコミに叩かれているのは悪い企業、と素直に信じるのは不幸のはじまりです。

私たちが企業をみるときには「ブラックかどうか」ではなく、
「誰にとってブラックなのか?」「私にとってはどうなのか?」、冷静に見る必要があります。


「あそこはブラック」という噂だけで行動するのは愚かです。
企業は人と同じで、「みんな嫌がるけど自分にとっては最高」ということがしばしばあります。「みんなが褒めるけど、自分には合わない」という企業もあります。
それを検証するのが就職・転職活動であるはずです。

誰かの判断、どこかの評価、他人がつけたランキング、そういうものに最後まで振り回されるのが、一番の悲劇だと思います。

■「ブラック企業」はないのか?

とはいえ、「ブラック企業」という議論に意味がないとは思いません。
組織ぐるみで犯罪行為を行っている企業をブラックというのであれば、それなら理解できます。
それはブラックと曖昧な用語を使うよりも、単に「犯罪企業」です。

それ以外で、ブラックな企業とは何でしょうか?
多くの人が言いたいのは「経営陣が人を大切に思っておらず、従業員から違法に搾取している企業」ということでしょう。

そういう企業に入りたくないという思いはわかります。入るべきではないでしょう。

ただ、そういう企業かどうか判定するのに「ノルマが厳しい」という視点だけでみると間違いを犯します。

「厳しい」と「悪い」は大きく違う概念です。厳しい企業を避けたい気持ちはわかりますが、「厳しいけど成長できる」企業も多いです。
つまり、「キツイ」、「厳しい」と「搾取している」は別です。
「搾取する企業」こそ、告発されるべきでしょう。
ここで言う「搾取する企業」とは、「自己責任という名のもとに、会社のすべき負担を社員に負担させている企業」です。

● 制服や仕事に使う備品などは自分で買い取り
● 交通費や電話代など、業務上必須なのに自腹
● 遅刻や欠勤に罰金がある
● ミスが罰金(例えば間違って注文したらその金額は自腹)
● 労災など、業務上の事故や怪我などの費用を社員に負担させる

これらは、違法性が高いので、もちろん「違法な企業」と言ってしまえばいいのですが、
対従業員への犯罪という意味で、特に「従業員にとってブラックな企業」だとして、共有されるべき情報でしょう。
posted by career2.0 at 20:02| Comment(1) | TrackBack(0) | 会社のしくみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
綺麗なブログですね♪
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Posted by miwako at 2008年09月25日 00:57
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