学生の方々とお会いして、共通して感じたことがありました。
多くの学生さんは、「自分が他人にどう思われるのか」について、とても気にするのに(就職活動なので当然ですが)、
「自分が他人に与える印象」や「自分の第一印象」について正確に知らない、ということです。
「第一印象についての戦略がない」と言ってもいいと思います。
大ざっぱに言えば、面接の成功は面接を通じて面接官が感じた「印象」で決まります。
面接での印象は、「第一印象」+「面接中の印象」です。
第一印象が悪ければ、その後の対応で巻き返す戦略が必要ですし、第一印象が良ければ、その印象を崩さないような戦略が必要です。
その戦略を、みなさん持っていますか?
面接を終えて、面接担当者が応募者に感じる印象は、簡単に言えばこういう仕組みでつくられます。
●挨拶〜最初のやりとりの、数分のあいだで、第一印象がつくられます。
●第一印象は、話す内容ではなく、外見(服装や髪型、表情や姿勢、目線、身振り手振り)や声、話し方といった要素でほとんど作られます。
●第一印象には、いい/よくない、という受け止め方があります。単純に言えば、明るく清潔感があり、話しやすい雰囲気の人が「第一印象がいい」と言われます。
●第一印象があり、面接の内容で少しずつそれを修正しながら、面接が終わります。
●終わったときの印象は、第一印象通りの場合もあるし、第一印象から印象が変化して終わる場合もあります。
●いずれにせよ、面接は「第一印象」からスタートします。面接の時間が短ければ短いほど、短距離走でのスタートと同じで、第一印象の比重が高くなります。
●ただ、どんな第一印象の人でも、「いい」部分と「心配」な部分があります。
●その後の質疑応答で、面接担当者は、自分の第一印象がほんとうに正しいのか、確認していきます。
具体的には、以下の2点です。
1.「いい」印象の確認。 第一印象の「いい」部分が、本当にいいのかを確認します。
2.「心配」な印象の確認。 心配なところについて「心配しなくてもいいのか」を確認します。
例1
とても「元気がいい」印象だった場合、面接官にはいくつかの心配が生じます。
そこで、面接を通じて、確認します。
1 いい印象の確認
「この元気は作り物ではないのか?本当に元気な人なのか?」
2 心配な部分の確認
「元気がいいけど、元気だけで実はとってもアホなんじゃないか?」
例2
真面目だけれど、少し地味な印象をあたえる場合。
1.いい印象の確認
「真面目なのは本当か?真面目に何かをやり遂げた実績はあるのか?」
2.心配な部分の確認
「少し暗い印象があるけれど、周囲の人と仲良くやっていけるのか?積極的に行動したりできるのか?」
面接する側は、こんなパターンで考えます。
だとすれば、応募者が面接で考える戦略は以下の4点に集約できます。
1.自分が、相手に与える第一印象を知る。
2.その第一印象を、よりよいものにする。
3.その第一印象の「いい」部分を、本物だと納得してもらうよう、面接での発言、エピソードを考える。
4.その第一印象の「心配」な部分を、心配ないと納得してもらうよう、面接での発言、エピソードを考える。
そして、多くの学生さんは、このような戦略を立てていません。
本を読んで業界研究をしたり、必死に志望動機を考えても、相手の印象はたいして良くなりません。なぜなら、企業はあなたに感じる「印象」で、採用を決めるからです。
何を話ても、「印象」の悪い人は(特殊な才能がある場合を除いて)採用されません。
最後にもう一度くり返します。
スタートは「第一印象」です。短距離走者がスタートを何度も練習するように、第一印象を良くする作業を、決して怠らないで下さい。そして、自分の第一印象を知らなければ良くしようがありません。
次にその第一印象をさらによくして面接を終わらせましょう。そのためには、実際のエピソードを用意して、第一印象のいい部分を証明して、心配な部分を打ち消しましょう。
初対面の人、例えばOB訪問のとき、OBに聞いてみて下さい。「私の第一印象はどんな感じですか?」。
私も学生さんに会うときは、率直に第一印象を言うようにしています。録音した自分の声を聞いたときに、意外な感じがしたことってありますよね?それと同じで、自分の第一印象を客観的にとらえるのは難しいと思います。でも、面接の成功を考えるなら、なくてはならない作業ですす。
まずはそこからはじめてください。