「ちゃんとした敬語を使おう」として、よけい日本語がおかしくなるケースが多いと思います。
「美しい日本語」とか「最近の日本語の乱れ」といった議論が多くなされるので、
「採用側が気にしているのでは」と思ってしまう気持ちもわかります。
ただ仕事の日本語ですら、その会社の業種、規模、経営方針、外資/日系、平均的な年齢層など、時と場所によって、正しい日本語は全く異なります。
それを正確に把握することは困難ですし、入って学ぶものであって、事前に相手に合わせた日本語を話そうとする苦労は無駄だと思います。
面接官にとって、発言内容がよくわからないので次のステップに進めなかった人は多数いますが、
敬語が上手く使えなかったために落ちた、という人は、ほとんどいません。
面接で何を重視するかは明白で、「自分の意見をわかりやすく相手に伝えること」です。
文意を明確に伝えつつ、相手に対する尊敬の念を「添える」ためのテクニックが、敬語です。
あくまでメッセージを伝えることが主目的で、敬語はオマケということです。
だから、採用側は、敬語のうまさを評価しているわけではありません。
(もちろん秘書職など、即戦力で敬語力が必要とされる職務は別ですが)
特に新卒採用については、大学生相手に敬語の評価をしても無意味で、
採用担当もそのことをよくわかっています。
当たり前の話ですが、敬語について臆病になる応募者の方が最近多いので、気になります。
そして、残念なことに、敬語を使い慣れていない人が使う敬語は、
面接的には全く逆効果、つまり、聞きづらく理解しづらいものです。
「敬語病」で特に多いのが、「させていただく」です。
「お話しさせていただきたいと思います」
「はなさせていただきます」
どちらも、聞き苦しい敬語の典型です。
そもそも、「はなさせていただく」ってカツゼツ的にも言いにくいですよね。
「話したいと思います」「お話しいたします」でじゅうぶんです。
「前職についてお話しさせていただきますと、営業管理のほうの、
業務に就かせて頂いておりまして、わたくしといたしましては、〜〜」
こんなひどい日本語は、聞いていて疲れるだけです。
敬語は丁寧さが強調されればよいのではありません。
相手にとって違和感なく内容が伝われば、それでいいのです。
「させていただく」は単にお互いにとって時間の無駄です。
そういう人にかぎって、
「なので」を「なんで」、「やはり」を「やっぱり」、「〜など」を「〜とか」と言うなど、
敬語以前の日本語の丁寧な使い方ができていないことが多いです。
繰り返しますが、なれない敬語を使って日本語を不透明にするくらいなら、
少々粗っぽい日本語でも、はっきり伝えてほしいと、たいていの面接官は思っています。
どうか勇気をもって、無理な敬語を減らしてみて下さい。
面接時の緊張が半減すると思いますよ。
させていただきます…最近、増えてますね。みんな使いますね。そこまでへりくだらなくても、って思います。連発すると、逆に効果が薄れるんじゃないでしょうか。他にも、「〜ますでしょうか?」がありますね。
「謙虚・腰が低い・控え目が良い」という日本人の価値観から来てる気もします。
私も「させていただきます」は面倒くさいんですが、そう言わないと横柄・生意気に見られるおそれがあって、なかなか私ひとりだけ「〜します」と言えません。
でも、仕事で意欲を示すときは、「〜させていただきたいと思います」じゃなくて、断定的に「〜します、〜したいです!」で行きたいと思います。