2007年08月22日

都市伝説は不安を表す

毎年の風物詩といってしまえばそれまでなのですが、就職活動の学生のあいだで、
まことしやかに語られる噂があります。
都市伝説といっていいでしょう。


「説明会の案内に、"服装は自由"って書いているけど、実はそれどおりに私服で行った人は落とされる」

「●●業界は○色のスーツはダメ」

「面接で出されたお茶を飲むと、"失礼なやつ"として評価が下がる」

「学歴不問と書いている会社は、実は学歴を調べている。結局学歴重視だ」


よく聞く噂ですし、そのほかにも、たくさんこの手の噂があります。
残念ですが、どれも私の経験上、あり得ないことです

もし、「"私服でOK"と書いていて、実はスーツでなければ落とす」、ということが本当なら、
その会社は嘘をついているということですよね?

そんな嘘を会社の人事部が考えて決定するなんてことは、まずあり得ません。
発覚して訴えられたらどうするんでしょう?

だいいち、会社としても、忙しい時期にそんなことをチェックする手間はかけられないですし、
会社が出したメッセージをまじめに受け取って、私服で来る学生を落としても、何も得しないのです


多くの学生さんは、"私服OK"の説明会でも、スーツで来られます。
10年前であれば、ほぼ全員がスーツでしたが、最近はカジュアルの方も増えています。
クールビズなどの影響もあると思います。

学生さんが不安になるのは、よくわかります。
「"私服OK"と書かれてあっても、スーツでいくのが社会人の常識なのか」、と考える人も多いでしょう。

もし不安であれば、スーツで行けばいいと思います。不安なまま就職活動しても、いい結果は得られませんから。

ただ、そういう噂に振り回されることは、危険だと知ってほしいのです。


特に、就職活動においては「自称、会社通の学生」というのが出てきて、
「あの会社は実はこうだ」とか「あの会社ではここを見ている」とか語りたがる学生が現れるものです。

そういう人に限って、「実はスーツでいかないとダメ」といったことを本気で語っています。



おそらく不安なのでしょう。

"私服OK"が何を意味しているか、また、スーツで参加した自分が正しいのか、わからなくて不安になり、
精神安定剤として、そのような噂が自然発生的に出てくるのだと思います。

多くの都市伝説は、みんなが心のどこかで「そうあってほしい」と求めているからこそ流行するものです

他の2つも同様です。

出したお茶は飲んでください。
ビジネスの世界で、それを失礼と思う人はいません。
私も、お客様の会社で、お茶を出されれば、飲みます。
水分をとったほうが話しやすいからです。

また、「学歴不問」と書いて、学歴重視をする意味はなんですか?

世の中には学歴重視の企業はもちろんあります。
大手金融機関、商社、官公庁など、やはり内定者は圧倒的に有名大学の方が多いです。
そういう会社は、最初から大々的に「学歴不問」とは言いません。
学歴も評価基準の(重要な)一つとして含まれています。

一方で、「学歴不問」と明確に宣言しているのは、会社の意思です。
ほんとうに優れた人材を採りたいのです。

そこであえて学歴を重視する必然性がありません。
そんな姑息な嘘をついても、得をしないのです。


学歴不問、と書けば、いろんな大学の多くの学生がエントリーするでしょう。
学歴を重視しているなら、結局、学歴が低い人を落とすわけなので、エントリーが増えるだけ手間が増えて、何もいいことがありません。

加えて、とくべつ企業イメージがよくなるわけでもありません。
採用情報は学生しか見ていません。顧客向けにPRを充実させたほうがよほど効果があります。

「学歴不問と言っている会社も、実は学歴で採用している」といった噂は、
悲しいかな、一流、有名大学で飛び交っています。

それも、不安だからだと思います。

一流大学の学生にとって、本当にポテンシャルだけで勝負するのは、恐怖だと思います。
そもそも、一流大学にいる理由は、受験勉強ができた、ということだけです。もちろんその経験は、仕事にも役に立ちます。
しかし入学したあと、たいていは一生懸命勉強したり、就職活動に備えてきたわけでもありません。

大学入試とは異なる基準で選ばれた場合、自分が選ばれないという不安があります。
そんな不安が、「実はあの会社は学歴を見ている」という噂を生んでいるのだと思います。
心のどこかでは、学歴を重視してほしい、という期待があるのだと思います。


最後に、

「採用の裏事情は、実は〜」という、就職活動中に広がる噂は、ほとんど根拠がありません。
情報が不足している中で、そういう情報を信じてしまう不安な気持ちはよくわかります。

説明してきたように、そういう噂を語る人の、内なる不安もよくわかります。


ただ、信じてほしいのは、企業は皆さんが噂されるほど、嘘つきではないということです

嘘をつくメリットがありませんし、
むしろ、企業からのメッセージをもっと素直に受け止めてほしいとさえ思っています。

企業が競争に勝って成長していくために、いい人材を確保するのは、本当に重要なことなのです。
適当に人を採用して企業が生き残れるほど甘い時代ではないのです。

「優秀な人材がほしい」、ただそれだけなのです。
切実です。

そこで言う優秀さは、説明会の服装や、面接のときの髪型や、敬語の上手さや、スピード写真と写真屋の写真の違いなどには、ほとんど現れません。

会社としても、そんな優秀さと関係ない「瑣末な」ことの評価で、エネルギーを使いたくないのです。

ほとんど実力勝負です。
ほんとうの実力を、本気で見ようとしています。


もちろん縁故入社や青田買いなど、ないとは言いません。
でも、そこに関係ないのであれば、それを意識していても、仕方がないんじゃないでしょうか?

大切なことは、変な噂に惑わされず、瑣末な礼儀作法にエネルギーを注ぐのでもなく、
(最低限のマナーは知っておく必要がありますが、あくまで最低限で十分です)、
企業への、仕事への情熱と、あなたの魅力を、どう相手にぶつけるか、誠心誠意伝えるか、真剣に考えてください。
最終的には、そこにしか答えがないのだと思います
posted by career2.0 at 04:11| Comment(0) | TrackBack(3) | 就職活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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