2007年12月27日

同族企業に入ってはいけないのか?

「あの会社は同族企業ですか?」という質問をよくいただきます。
もちろん気になる企業について、調べるのは重要ですが、
その背景には、「同族企業には入りたくない」という考えかたがあるようです。

では、なぜ同族企業には入りたくないのでしょうか?
理由は大きく2つあるようです。

1.同族企業は、経営陣を一族で占めているので、がんばってもトップになれない。
2.同族企業は、不祥事がおきやすい。

まず最初に申し上げたいのは、繰り返し言っているように、マスコミはほとんど真実を語りません。
視聴者や読者が期待しているように伝えるのが、マスコミの大きな仕事です。
私たちは、マスコミの流す情報の向こうにある真実を、自分の力で発見しなければいけないのです。

今は、同族企業を叩くのがマスコミが共有している大前提です。
もちろん、赤福、船場吉兆など、同族経営の会社の不祥事が、今年は目立ちました。

多くの一般市民にとって、一族で富や権力を独占している状況が許せるはずもありません。
視聴者は、「だから同族経営はダメだ」と思いたいし、言いたい。
マスコミも、それに同調して、同属企業を叩く。
そんな構造が見え隠れしています。

ただ、冷静に振り返ってください。
あなたがふだん選んでいる食べ物、洋服、雑貨、薬、車、、、多くの魅力的な製品が、
同族企業から生まれているという事実を、知っておく必要があります。

トヨタのカローラに乗って、サントリーの伊右衛門か伊藤園のおーいお茶を飲み、
風邪をひいたら武田のベンザブロックと大正製薬のリポビタンDと大塚製薬のポカリスエットを飲んで、
着ている服にはYKKのファスナーがついていて、手土産には虎屋のようかんを買って、
よく通っている近所の鮨屋は先代の後を二代目が継いでいませんか?

それらの事実をなかったことにして、「同属企業はダメだ!」と叫んだところで、まったく説得力はありません。

同族企業が悪いのではありません。
悪い同族企業があるだけです。
そして、同族企業にしかできないことが、あります。

同属企業は、大株主である一族がいて、経営者も兼ねているという企業のことをいいます。
逆に、そうではない場合、株主と経営者は別々です。
ということは、いわゆる雇われ、サラリーマン社長です。

サラリーマン社長は、数年で任期が切れます。
その間、株主からは業績を向上させるよう要求されているわけです。

そのときに、「損してもいいから、50年後に実用化される新技術を開発しよう」と思いますか?
その社長にとって、そのようなインセンティブ(動機)が働くことは難しいです。
それよりも、コストを削減し、営業をてこ入れして、即効性のあるヒット商品をつくって業績を向上させたほうが、
社長としては評価されます。

一方、同族企業にとって、自分の子供や孫の代に企業を残していくことは大きな使命です。
家族愛はどんな愛よりも強い。
それが身内びいきにつながる危険も多くありますが、家族の強い愛が、「子孫にいい企業を残す」ための経営につながっていることも事実です。

外資系の脅威にさらされながらも、今の武田薬品の調優良な財務体質を築いたのは、
前社長である武田國男氏の手腕によるところが大きいといわれています。
名前のとおり、武田家の人間です。社員の反対を受けながらも、大きな改革を次々と、飄々と成し遂げました。

創業家の強みは、いろんな人の顔色を伺う必要がないということ。
ふつうの会社では、株主、従業員などが自分の利益を求めて、いろんな圧力をかけてきます。
サラリーマン社長は、彼らに選ばれて社長になったのですから、かれらを裏切る決定はできません。

それを、振り切って、100年後を考えた大きな投資をする決断は、
しがらみとは無縁の、自分の会社だという強烈なプライドがなければなしえません。
つまり、同属企業以外では難しいのではないでしょうか。

巨額の投資を必要とする製薬業界や、ものづくりの企業、アパレルやファッションなど、合理的には説明しづらい美学が原動力になっている企業においては、民主的な意思決定よりも、責任が明確なトップの強いリーダーシップ、10年を超える長期的なが視野必要です。そこにおいては、同属企業のトップのほうが、強いと思います。

船場吉兆の女将が、「父に申し訳ない」と謝罪したのが象徴的でした。
マスコミはこぞって、「客より先に身内に詫びるとはどういうことだ」と彼女を叩きましたが、
吉兆にとっては当然の反応でしょう。

消費者は移り気です。流行や新商品に飛びつき、すぐに飽きます。
そんな目の前の客の一喜一憂には左右されず、自分たちの信じるものをつくり続けるためには、家族的な強い哲学が必要です。
小さいころから、「これを守れ」と言われて育っていなければ、守ることができない価値観があります。

もちろん吉兆の罪は大きいと思います。
消費期限の偽装よりも、その偽装を従業員の責任にしたことは、同族経営としては最も卑劣です。

家族が強い権限を持つかわりに、失敗したら全責任をとるのが、同族経営の絶対的な原則です。
だからこそ、従業員は、その一族についていくのですから。

大きな責任を取るからこそ、大きな権限が集中しているのです。
株主であり経営者である、という権限の集中が、意思決定を早くして、長期的視野の経営が可能になります。
それが同族経営です。

就職・転職をお考えのみなさんは、同族=×という安易な意見には流されず、
その権限と責任の関係、同族経営のメリット・デメリットを考えたうえで、考えてください。
同族経営で、働きやすく、優良な会社はたくさんあります。
posted by career2.0 at 18:37| Comment(0) | TrackBack(1) | 会社のしくみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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