2008年01月23日

「すごい経験」幻想

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「強豪体育会の主将だった」
「イベントを立ち上げて2000人を集めた」
「バックパックで世界30カ国を旅した」
「学生時代に起業し、会社を経営していた」

大学生の中には、そんな「すごい経験」をした人がいます。
いずれも強い意志と能力を必要とすることです。
すばらしいと思います。

一方で、99%の大学生は、そんな経験を持っていません。

「すごい経験」をした人の話を聞くと、特にグループ面接などで、隣の人がそんな「すごい経験」を語っていたら、「ああ、この面接、ダメだ」とギブアップ気味になってしまう人も多いでしょう。

でも、悲観しないで下さい。

企業は「すごい経験」をした人から順番に採用していくのか?
というと、実はそうでもありません。
(そういう人が好きな会社も時々ありますが、ここでは多くの企業の一般論を言います)

理由は簡単です。

そういった「すごい経験」をした人が、みな優秀な社員になったわけではないからです。

なぜなら、会社での仕事は、部活ではなく、イベントでもなく、旅行でもないからです。
会社に入社することと、起業することも、違うことだからです。

採用のプロは、その「違い」に注目しています。
部活で学んだ力と、会社で求められる力との違いをチェックします。

大企業でも中小企業でもそうですが、入社してしばらくは、半人前です。大企業では、特に半人前の期間が長いでしょう。

来る日も来る日も、採用パンフレットに載っているような「すごい仕事」は、やらせてもらえません。
それまでは、3年とか5年とか、下積み仕事で実力をつけていきます。
それを避ける近道はありません。そこで頭角を表した社員に、「おもしろい仕事を」やらせます。

だから採用側は、まずその人が下積み仕事に謙虚に取り組んでくれるかどうかを見極めたいと考えています。

求められるのは、与えられた仕事を、指示に忠実に、納期までに完成させることです。
どんなユニークなアイディアよりも、納期と品質です。

そのために必要な能力は、例えばこんなことです。
謙虚に話を聞いて学ぶこと、わからないことは「わからない」とすぐに聞くこと、状況を報告して途中経過を上司が「見える」ようにしておくこと、何か問題があればすぐ相談すること。ミスをしたら素直に謝り、反省すること。同じミスを二度しないこと。手伝ってくれたり、教えてもらったらお礼を言うこと。

あまりに地味すぎて、夢も希望もない意見かもしれません。
しかし、多くの企業で若手社員が上司や先輩から信用を勝ち取るのは、そんな平凡で小さなことの積み重ね以外にありません。
決して、斬新さやユニークさ、スケールの大きさではありません。学生時代の「すごい経験」でもありません。

だから、会社はむしろ、世界何十カ国をヒッチハイクで放浪した「すごい」人より、きちんと授業に出てノートを取り、先生に質問し、テスト前にはきちんと勉強して、テストで割といい点数を取った平凡で地味な人を、必要としている場合が多いといえます。

そして、そんな特別脚光もあびない平凡な人のほうが、信用を得ることが多いです。自分が平凡であるということに謙虚に向き合って、懸命に目の前の仕事に取り組んでいるからです。

どんなエクセレントカンパニーに就職しても、日々の仕事の9割9分は地味なものです。
エキサイティングではないし、多くの人から拍手喝采されることもありません。
「すごい」仕事は滅多にありません。

だから、「すごい経験」をしていない人のほうが向いていると思う人もいます。
「すごい経験」はすばらしいものですが、その「すごい経験」を再現しようとしても、会社にそんな場面がないからです。
「すごい」人が会社に敬遠されるとすれば、自分が経験したことを会社にも求めてしまうところにあります。

「すごい経験」を会社でも実現したいと思って入社した人は、日々の地味な下っぱの仕事に耐えられるのか、採用側は不安にかられます。それを打開するPRがむしろ必要になります。

「経験のすごさ」よりも「努力の地道さ」。
多くの企業は、そう思っています。

「すごい経験」をしたことがない誰でも、地道な努力はしたことがあります。

居酒屋のバイトをずっとがんばった、小さなサークルだけど盛り上げようとがんばった、ゼミの発表をがんばった。
そこで学んだことがあるのだから、それで構わないのです。

堂々と、皆さんの「平凡で、地味な努力」を、企業にPRしてください。
企業も、それを知りたがっています。
posted by career2.0 at 18:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 就職活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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