2008年02月15日

企業選び2.0

【華麗なる一族の時代】

高視聴率をとったテレビドラマ「華麗なる一族」は、50年代〜60年代の産業界の中心にあった銀行業と鉄鋼業を舞台にしていました。自動車メーカーは全く登場しませんでしたね。
それもそのはず、多くの自動車メーカーは財閥とは関係ない家族的な町工場からはじまった会社で、格下の業界でした。だから、多くの優秀な学生も銀行や鉄鋼業に入り、自動車は真っ先にいきたい業界ではありませんでした。94年、経団連会長にトヨタの会長が就任するという日を、当時の誰もが想像できなかったことでしょう。
今では、日本一の企業と言えば多くの人がトヨタを挙げます。自動車は世界において日本を代表する産業で、就職でも人気です。

70年代、ダイエーの中内社長は経団連の要職を勤めたいと主張しましたが、「小売業の分際で」という雰囲気の中、挫折したと言われています。その後、東京電力の平岩氏が会長を勤めた際、副会長に就任しました。いまだに小売業・サービス業から経団連の会長は出ていません。

【華麗なるインターネットの時代】

10年前、いや、もっと最近のことです。
多くのインターネット企業が勃興し、ヤフージャパンの株価は1株1億円を超えました。
「インターネット革命」、「ドットコムショック」とよばれ、ビジネス、生活が根本的に変化する、と言われました。
当時、一流のコンサルタント、エコノミスト、評論家が、こういうことを言っていました。
「インターネットによる直接取引が増え、商社はなくなる」
「eラーニングが活発化し、教室を持つ教育産業は衰退する」
「日本企業のタテ型の官僚組織が崩壊する」
「会社に通うという概念がなくなり、在宅型の自由なワークスタイルが増える」
「オンラインショッピングが日常となり、スーパーや百貨店がなくなる」
「国境がなくなる」・・・
一部は実現し、一部は実現していません。

当時、多くの優秀な若者はインターネット関連のビジネスを創業し、ビットバレーというコミュニティもできました。また、大手ネット企業に多くの若者が就職しました。

しかし、ライブドア事件以降、インターネット企業や新興市場に対する世間の目は冷たいと言えます。実体がなく、ほとんど死に体となっているネット関連の上場企業もあります。一方でユーザーの信頼を獲得して、大きな利益を上げているネット企業も多くあります。

インターネットは本当に革命を起こしたのか?
と言われると、正しくもあり、間違ってもいるようで、結論はわかりません。

インターネットは、多くの人にとって、一つの重要なツールになったということは間違いありません。私自身、ネットでこのように皆さんとつながることができ、恩恵を多く受けています。ただ、インターネットはコミュニケーションや情報収集の道具を一つ増やしただけなのか、それとも生活を一変する革命であったのかどうかは、100年後の歴史家が判断すべきことでしょう。

【華麗なる評論家の転身】

ただ、はっきりしていることがあります。「インターネット革命がおきる」と言っていたコンサルタントや評論家は、今では、「これからはBRIC'sだ」とメディアで言っています。「ネット技術や知的所有権でアメリカに遅れをとるな」と言っていた学者は、今では「日本は得意とする“ものづくり”に返れ」と主張しています。

現在、資源価格の高騰で総合商社の業績が軒並み堅調です。資源を持たない日本にとって商社の存在がますます大きくなっています。「商社がなくなる」と言った学者は、当時の発言について何も責任をとっていないどころか、検証すらしていません。

商社以外にも、鉄鋼業界や石油業界といった、ネット革命によって旧社会のビジネスの象徴のように言われた企業群の存在感も増しています。

【業界2.0】

産業界の図式は、「インターネット」か「旧態依然の重厚長大ビジネスか」、という二項対立ではなく、ネットやITなどの新しい勢力が登場しつつ、重厚長大産業も必死に戦っている、混沌とした産業界になったということです。それぞれが世界中の企業とも戦わなければいけない、戦っているうちに中東のオイルマネーが日本を飲み込むかもしれない、とにかく乱世です。

ここにおいて、「どっちの業界が格上か」「どっちの企業が格上か」という経団連的なヒエラルキーを前提にした議論そのものが通用しない時代になったということは明白です。

例えば金融・化学・流通・製薬など、多くの業界で、しのぎを削ったライバル関係にある企業同士が合併しました。
第一勧銀か富士銀行か?三共か第一製薬か?明治生命か安田生命か?スクエアかエニックスか?コニカかミノルタか?
どっちに入社すればいいんだろう?と悩んでいた学生さんの苦悩は、徒労に終わってしまいました。
企業について真剣に比較するプロセスには意味がありますが、格上/格下で選んだのであれば、それはやはり徒労でした。

あるいは、業界2番手と3番手の企業から内定をもらい「やっぱり上のほうがいい」と思って2番手に入社したものの、3番手と1番手の企業が合併してしまい、3番手企業に入っていれば、今ごろ業界トップの社員だったのに、と悔やむ人もいます。

つまり、企業を選ぶときに、週刊誌のランキングが意味を失いつつある時代だということです。

「2.0」と言っている意味は、そこにあります。
業界間、企業間の上下のヒエラルキーは、極めて脆いものになりました。
では、企業の将来が誰にもわからない中、何を基準に企業を選べばいいのでしょうか?

はっきりした答えは私にもわかりません。

【企業選び2.0】

「企業が重要ではない。自分の実力を磨いて、いつでも転職できるようにすべきだ」という意見もある一面では正しいですが、それは強者の論理だと思います。そんなに労働市場でガチンコで勝負できる人も、多くはいません。

ほとんどの人は、企業と命運をともにします。だから「どんな企業に入っても、実力さえあればなんとでもなる」という大雑把な議論をするのも避けたいと思います。

ランキングは他人の判断です。それが意味を失いつつある以上、自分自身の企業の選び方が問われています。この混沌とした時代のなか、キャリア・企業選びを一緒に考えていきましょう。
posted by career2.0 at 19:40| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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