2008年02月29日

よい退職理由とは?

なぜ、今の会社を辞めようと思っているのですか?

これは、中途採用応募者のほとんどの方に、会社から質問することです。

それに対して、
・前の会社の批判はしてはダメですか?
・どういう回答ならOKで、どういう回答ならアウトですか?
・人間関係などのネガティブな退職理由は正直に言ってはダメですか?

と、よくご質問いただきます。

まず、「今の会社に不満はないし評価もされているが、自分の可能性を試したくて転職しようと思った」というような、ポジティブな理由だけで転職する人は1割もいません。9割以上の人は会社に不満があります。簡単に言うと「会社がイヤになった」ということです。もちろん自分の可能性を真剣に考えての転職でしょうが、今の会社に対して不満が全くない、という人はほぼいません。

採用側はそれを知っています。退職理由を聞く場合も「ネガティブな理由もどこかにあるのだろう」と思って聞きます。たいていの応募者の方は「今の会社に不満があるわけではなく、、自分の可能性を、、、」という話から入りますが、中途の採用に慣れた人であれば説明されたことをそのまま受け止めず、そこからつっこんで、辞めようと思った経緯、理由を細かく聞くと思います。

私は「この会社を志望する理由」と「前の会社を辞めようとする理由」を別々に聞くように面接官の方にはお願いしています。その二つは区別されるべきです。志望理由を語るのは簡単です。前向きなこと、つまりその会社の魅力やビジョンに共鳴した、自分のキャリアの希望や自分の長所と合ってるに違いない、など、夢のある話をすることができます。

それより私は、「退職理由」にその人の本質が現れると考えています。辞めようと思って入ったわけではない会社を、何らかの理由で辞めるわけですから、本人にとってはやはり不本意で、できれば振り返って触れたくない過去だと思いますが、自分の過去を直視して、納得できる説明をしてほしいと、面接官は思っています。

説明いただく退職理由はこのようなものが多いです。
●会社の経営状態の悪化、早期退職など
●経営方針に合わない
●会社の文化が合わない
●会社の労働環境が悪い
●異動により希望する仕事をはずされた
●給与等の条件が悪い
●人事制度が硬直的だ
●家庭の事情(介護や育児など)
●セクハラ・パワハラがひどい


本当の理由は、こういうことが多いです。
●前職の仕事内容が向いてない。評価が低い
●上司や同僚などとの人間関係のもつれ
●とにかく精神的にムリ


ただ「この理由ならOK」「この理由なら落ちる」といった話をするつもりはありません。
企業側は退職理由そのものよりも、それをどう説明するかを見ています。以下のような「企業が欲しくない性格」の人をあぶりだしたいからです。

●常に「青い鳥」を探す人
今の職場への不満がなくなっているような、素敵な職場がどこかにあるに違いないと思って転職活動をしている人がいます。多かれ少なかれ、どこの職場も常に問題を抱えています。人が何十人も集まれば、人間関係が全てうまくいくはずもありません。どの組織でも、ギクシャクしているケースがあちこちにあります。どの会社にも、尊敬できる上司と尊敬できない上司がいます。上司を尊敬できないから辞めても、次の会社でもおそらく尊敬できない上司に当たります。
メディアで、「活気のある会社」として紹介されていても、隅から隅まで素敵な会社はありません。「ブラック企業」という言葉で企業を大雑把に評価する人が多いですし、「あそこはブラックですか?」という質問も多いですが、ほとんどの会社はブラックでもホワイトでもない「グレー」です。
あらゆる組織は、常にいろいろな問題を抱えながら前進しているということを知って下さい。今の組織が窮屈に感じると、どうしても他の組織がステキに見えます。そこでそのまま転職するのか、一旦冷静になって、どの会社も同じ問題はあるはず、それでも自分に合うのはどっちだろう?と考えることには大きな隔たりがあります。だから、中途の面接で、他の会社を過大評価して希望に満ちすぎている人も、どこか現実逃避のにおいがします。

●他責思考の人、反省のない人
人間関係がうまくいかない責任の一部は本人にあります。当然のことですが、片方が一方的に悪い、ということはありません。会社だけが悪い、ということもありません。会社の制度や経営に欠点があっても、その中で活躍できない自分の問題から目をそらしてはいけません。自分自身にも反省すべき点があるはずです。すべて会社が悪く、自分自身には何の反省もないような退職理由は、聞いていても信用できません。

●責任感のない人
辞める妥当な理由があったとしても、仕事を放り投げて会社に迷惑をかける人は、やはり無責任な人です。きちんと引継ぎなどの後始末ができているのか(する予定があるのか)、顧客や会社に迷惑をかけないような仕事の片づけをして辞めるかどうかは、重要なポイントだと思います。
ただ、セクハラやパワハラなど、会社に明確に非がある場合は、仕事の途中で一気に辞めるのも仕方ないと思います。

●物事を一面的にしか見られない人
体育会的なカルチャーで人が育たない。部署異動が多く専門性が身につかない。年功序列で若手が活躍できない。などなど。
確かにそれが合わないと思う人は多いと思います。
ただ、もしそれが会社の問題・欠点なのであれば、会社はなぜそれを変えないのか?あるいは、なぜ会社がつぶれないのか?という視点で一度考えてみてください。
存在しているものには、存在している理由があるはずです。自分にとって非合理と見えるものでも、ある人々にとっては、合理性があるものです。もちろん環境に合わせて変えなければいけないものがたくさんあります。変化できない企業は生き残れません。しかし、必ず文化や精度には、存在している理由があります。理由がわからなければ分析ではなく単なる「悪口」です。「自分にとって」だけではなく「他の人にとって」「会社にとって」をいろんな視点から見ることで、会社を見る目が養われますし、他人の視点を持つことがチームワークの第一歩です。
もちろん会社の文化、制度にどうしても合わない場合は辞めてもいいと思います。しかし一度、非合理にみえるものが存在している理由を考えてみてください。
「あの会社の人事制度は間違っている」という意見と、「人事制度にはそれなりの理由があるが、自分には合わない」という意見では、大きな違いがあります。

●嘘をつく人
すべての嘘が見抜けるということはありませんが、一つのテーマで一時間も話せば、嘘をついている場合、何かを隠している場合、辻褄が合わないポイントがいろいろ出てきます。嘘をつくところ、矛盾があるところに、その人が最も隠したいものがあります。だから、採用側は意地悪にも、そこをしつこく聞いていきます。つまり嘘は余計に聞かれたくないことを聞かれることになります。
よほど上手く嘘をつけばいいのですが、得意ではない人は、正直に言ってしまったほうが好感が持てる場合があります。「会社からは評価されていた」と嘘をついて、いろいろ聞かれるうちに、評価が低いことが明らかになる(もしくは評価されているという話があやふやになる)よりも、「実は会社の評価が低くて」と素直に言ってしまったほうがいいです。なぜ評価が低かったのか、評価基準と自分の特性を比較して分析できているのであれば、十分に評価できます。

いろいろ書きましたが、結局は一つのポイントを見ています。
退職という一大事を、単なる現実逃避ではなく、自分なりにどう整理・分析できているのかが知りたいのです。

中途採用で応募するかたは、「今の会社でもっとチャレンジするという選択肢もあるんじゃないですか?なぜそれより転職のほうが、より可能性が広がると考えているのですか?」という質問に対しての明確な回答が必要です。

仕事をする上でも、失敗や挫折は誰にでも起こります。それを、勇気をもって振り返り、反省・改善する人と、「次はきっとうまくいく」と過去から学ばずに次に思考がいってしまう人と、成長のスピードは大きく差がつきます。
会社は、転職理由を細かく聞いて、その人の成長力をみているということです。










posted by career2.0 at 19:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 転職活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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