2008年03月11日

「第二新卒」は存在しない

第二新卒を採用するメリット

第二新卒での転職を進める側の業界(紹介エージェントなど)が言うには、第二新卒の人は経験が少ないものの基本的な仕事のやり方や、ビジネスマナーなどがわかっていて、企業側も教育コストがかからない、などの有利な点があるので、「第二新卒市場は活況だ」ということです。

もちろんそのようなケースもありますが、一般的に採用側の実感とは異なります。

教育コストについて

新卒採用する企業にとって、新人の教育コストは毎年4月から最低でも数ヶ月間固定でかかるものですから、例えば新卒20人の採用枠のうち、第二新卒から5人採用しても、残り15人の教育コストはかかるので、教育コストをそれほど下げられません。
なぜなら教育コストは人数に比例する変動コストではなく、人数に無関係な固定コストの割合が多いです(例えば研修に講師を呼ぶ時、生徒が10人でも20人でも講師料は同じです)。
だから新卒を10人採用するより20人採用したほうが、一人当たりの教育コストは下げられますし、新卒を減らして第二新卒を採用することで教育コストを下げられるということもありません。

一方、新卒を採らない企業や新卒入社時と違う時期に第二新卒を採用する企業にとっては、第二新卒は中途採用の一部です。
中途であれば、5〜6年働いた経験者に比べて、第二新卒はだいぶん教育が必要です。つまり第二新卒が多ければ教育コストは増えます。

つまり、第二新卒を採用することで、よく言われるような企業側に教育コストを下げられるメリットはありません。「教育コスト」の面から、第二新卒の意味を考えるのは本質的な議論ではありません。

「第二新卒」は本当にいるのか?

ではなぜ第二新卒を採用するのか?
まず「第二新卒」とひとくくりに論じることに、意味がありません。
例えば「入社10年目」と言ったときに、そこには10年一つのことをやり続けた職人タイプの人もいれば、異動を重ねて総合力を身に付けた人もいます。優秀な人も優秀でない人もいます。10年間働いたという経歴以外は何も共通していませんので、それだけで人のイメージは沸きません。
同じように、「第二新卒」と言われても、0〜3年程度の勤務暦があるという点以外は、共通点もなくパッと思いつく人のイメージはありません。

実は、企業は「中途」か「新卒」しか採用していません。

第二新卒も、「中途」か「新卒」のどちらかに分類されます。そして、実際に「第二新卒」の人たちをみると、「新卒」が9割で、「中途」が1割です。
そこで言う「中途」とは、「数年の勤務だが実力があり、短期間のうちにうちの会社の戦力になる」と思える人です。

企業が第二新卒を採用する理由は、「新卒」としてゼロから教育しようと思っているか、「中途」になり得る1割(もっと少ないと思いますが)を見つけるためか、どちらかなのです。

メディアが言う「第二新卒」という大きなグループの人々を、企業が募集枠を設けて広く募集しているのではありません。そもそも「第二新卒」という概念は実は定着してはいません。「新卒入社3年以内で辞める人」が多いので、世相の一つとしてメディアは名前を付けているだけです。
企業にとっては、ほとんどの人は実質「新卒」です。ごく一部の優秀な人は「中途」です。そのどちらかです。

入社3年未満の実力

例えば従業員数万人の大企業での3年と、中小企業の3年は意味が違います。
大企業では、労働市場での価値という意味で、人の成長は遅いです。組織が細分化して、独自のルールが定着しており、3年で他の会社で通用するレベルではありません。大企業ももちろん転職しやすいように人を育てているのではなく、会社にとってすぐれた人材を育てようとした結果、会社独自の成長をしていくのが大企業の社員です。例えば消費財のマーケティングといっても、大企業であれば細かく分業されているので、一部の地域の新聞折込チラシをつくっているだけで3年くらい経ってしまいます。そして、その仕事の方法は独自性が強く、他社で通用しないノウハウも多々あります。
中堅中小企業であれば、良くも悪くも一人当たりの責任の範囲が広く、組織も小さいので仕事の全体像がつかみやすいです。若手をじっくり育てるというよりも、早く戦力になってもらわないと困るので、教育も現場で実践的なものが多く、仕事の領域も広くなります。
第二新卒といわれる入社3年程度の経験において、実質的な戦力度を測るのであれば、中小企業の経験者のほうが「中途として」優秀だというケースは多く目にします。

「第二新卒」は実は存在していない

「第二新卒」という言葉はここ10年でメディアに定着しましたが、よく考えれば多くの企業にとって「第二新卒」という概念は存在しておらず、実質的には新卒か中途のどちらかです。
新卒ならポテンシャル、中途なら実践的な能力を見ているだけで、第二新卒用の採用基準というものはありません。

まるで「第二新卒市場」というものがあると思って転職活動をしても、実際には「経験の少ない、実力のない中途」という扱いしかされない思いをしたかたも多いでしょう。

第二新卒での転職を成功させるのであれば、自分が「実質新卒」なのか、「実質中途」なのか判断し、同時にその企業が第二新卒に求めているものが「新卒としてのポテンシャル」なのか「中途としての戦力」なのかを判断することが、極めて重要です。
その両者の意識をぴったり合わせないと、第二新卒としての転職は簡単ではありません。

それぐらい「第二新卒」は、メディアが言っているよりもずっと不安定で不明瞭な概念だと思って転職活動することを、強くオススメします。
posted by career2.0 at 20:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 転職活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
将来起業できるといいなと考えている、普通の会社員(駆け出しマネージャ)の者です。

教育コストについては、なるほどなと思いました。大企業ではそうですね。確かに「第二新卒」という採用枠は私が勤めている会社でも聞かないです。

ただ、もし起業したとすると、しばらくは新卒採用活動なんて贅沢なことは絶対出来ないので、「実質新卒」の「第二新卒」を狙うかもしれないなと思います。「第二新卒」の方は、元気のある小さな会社を狙うといいかもしれませんね。

Posted by 起業希望者 at 2008年03月16日 12:10
起業希望者様、コメントありがとうございます。
おっしゃるとおり、第二新卒と言った場合、大企業よりも中堅中小企業・ベンチャー企業のほうが、お互いにとってメリットがあると思います。その場合、一からキャリアをはじめる、という覚悟が必要でしょうね。例えば大企業で2年働いた経験は、従業員5人のベンチャー企業ではほとんど活かされないと思ったほうがいいと思います。それぐらい、働き方が根本的に変わるのだと思います。
Posted by career2.0 at 2008年03月16日 14:17
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