2008年09月24日

「厳しい」と「悪い」は違う 〜いわゆる「ブラック企業」について

■どんな企業が「ブラック企業」と呼ばれているのか?

「ブラック企業」という言葉が、ここ数年インターネット上を中心にいろんな場所で語られています。
「あそこはブラックですか?」という質問もよく頂きます。

そもそも「ブラックとは何か」という定義を知らなかったので、答えようがなかったのですが、気になって調べてみると、かなり曖昧な言葉です。
そして曖昧な言葉にかぎって流行して、まるで世の中には「ブラック企業」という客観的に規定された企業があるのだと誤解されたままイメージだけが流通するものです。

私は最初、組織ぐるみの犯罪行為を行っている企業のことを「ブラック」と呼んでいるのかと思いましたが、
いろいろ聞いたり読んだりしてみると、ノルマが厳しい体育会系の会社や、労働時間が長い会社も「ブラック」に分類されているようで、
大きく分類すれば、下記の3要素のうちの一部もしくは複数を持っている企業が、ブラックと呼ばれているようです。

1.キツい (労働時間が長い、休日出勤がある、その割に低賃金)
2.厳しい (ノルマが厳しい、評価が厳しい、叱責などが多い)
3.悪い  (犯罪行為を行っている。違法行為を意図的に行っている)


この全てを満たしていれば、ブラックと言いたくなる気持ちはよく理解できます。
しかし、ただ仕事がキツいとか、ノリが体育界というだけでブラックと呼ばれるケースもあったり、
主観的な好き嫌いを企業の評価に持ち込んでいるケースがみられます。

■本当にブラックか?
例1.
新人は飛び込み営業を、半年間行う。
ノルマが厳しく、未達成だと厳しく叱責される。

こういう情報だけで「ブラックだ」と言われるケースが多々あり、それは誤解を招きやすい使い方だと思います。

この程度の情報だけでその企業はブラックだと言う人は、ただ「自分には営業が合わない/したくない」と言っているに過ぎません。

ある種の人にとっては、デスクワークでずっと数字を眺めるよりも、ノルマをもって飛び込み営業するほうがよほど楽です。
ノルマのない営業など考えられないし(無いとはいいませんが)、誰かが飛び込まなければ、新規の顧客をだれが開拓するのでしょうか?

誰かがやらなきゃいけないのに、自分が苦手なことをやらされる企業のことを「ブラック」だと言うなら、それは「ブラック」ではなく、「自分が行きたくない会社」というべきです。
そこでいきいきと働いている人もいれば、そこで高い成績をあげていい給料をもらっている人もいます。
厳しい環境で営業力を養うのは、営業系の会社の宿命であり一つの個性です。
もちろん暴力など違法な行為は責められるべきですが、営業=キツい=ブラックという単純な連想ゲームをしていては、企業について何も理解できません。
例2.
成績の低い社員が、厳しい研修プログラムに配属されたり、仕事を与えられないなどで、退職に追い込まれる

いわゆるリストラの一部ですが、こういう企業も一部でブラックと呼ばれています。
これも判断は難しいところです。
もちろん会社は新卒で採用したなら、その人の能力を引き出す努力をしなければいけません。
しかしそれでも成績のずっと低い社員が会社にたくさん残っていて、そのまま中堅層になっているとしたら、その会社は若い社員にとって魅力的でしょうか?
彼らを雇い続けることで、人件費が圧迫され、若手のみならず、正社員になかなかなれない派遣社員、契約社員にしわ寄せが来ているのではないでしょうか?

■誰にとっての「ブラック」なのかが重要

つまり、誰かが「ブラック」と言っても、別の誰かにとっては「いい会社」であったりします。

全てがブラックな会社はありません。誰かにメリットがあるからこそ、企業は成立しています。
また、一点の曇りもない真っ白な企業というものもありません。
「社員は家族」と終身雇用を高らかに宣言している大手メーカーも、その結果日雇い派遣を酷使することになり、ようやくそれが知られてきました。それはブラックでしょうか?ホワイトでしょうか?
光と影はあらゆる場所で存在しています。マスコミで褒めている企業はいい企業、マスコミに叩かれているのは悪い企業、と素直に信じるのは不幸のはじまりです。

私たちが企業をみるときには「ブラックかどうか」ではなく、
「誰にとってブラックなのか?」「私にとってはどうなのか?」、冷静に見る必要があります。


「あそこはブラック」という噂だけで行動するのは愚かです。
企業は人と同じで、「みんな嫌がるけど自分にとっては最高」ということがしばしばあります。「みんなが褒めるけど、自分には合わない」という企業もあります。
それを検証するのが就職・転職活動であるはずです。

誰かの判断、どこかの評価、他人がつけたランキング、そういうものに最後まで振り回されるのが、一番の悲劇だと思います。

■「ブラック企業」はないのか?

とはいえ、「ブラック企業」という議論に意味がないとは思いません。
組織ぐるみで犯罪行為を行っている企業をブラックというのであれば、それなら理解できます。
それはブラックと曖昧な用語を使うよりも、単に「犯罪企業」です。

それ以外で、ブラックな企業とは何でしょうか?
多くの人が言いたいのは「経営陣が人を大切に思っておらず、従業員から違法に搾取している企業」ということでしょう。

そういう企業に入りたくないという思いはわかります。入るべきではないでしょう。

ただ、そういう企業かどうか判定するのに「ノルマが厳しい」という視点だけでみると間違いを犯します。

「厳しい」と「悪い」は大きく違う概念です。厳しい企業を避けたい気持ちはわかりますが、「厳しいけど成長できる」企業も多いです。
つまり、「キツイ」、「厳しい」と「搾取している」は別です。
「搾取する企業」こそ、告発されるべきでしょう。
ここで言う「搾取する企業」とは、「自己責任という名のもとに、会社のすべき負担を社員に負担させている企業」です。

● 制服や仕事に使う備品などは自分で買い取り
● 交通費や電話代など、業務上必須なのに自腹
● 遅刻や欠勤に罰金がある
● ミスが罰金(例えば間違って注文したらその金額は自腹)
● 労災など、業務上の事故や怪我などの費用を社員に負担させる

これらは、違法性が高いので、もちろん「違法な企業」と言ってしまえばいいのですが、
対従業員への犯罪という意味で、特に「従業員にとってブラックな企業」だとして、共有されるべき情報でしょう。
posted by career2.0 at 20:02| Comment(1) | TrackBack(0) | 会社のしくみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月27日

同族企業に入ってはいけないのか?

「あの会社は同族企業ですか?」という質問をよくいただきます。
もちろん気になる企業について、調べるのは重要ですが、
その背景には、「同族企業には入りたくない」という考えかたがあるようです。

では、なぜ同族企業には入りたくないのでしょうか?
理由は大きく2つあるようです。

1.同族企業は、経営陣を一族で占めているので、がんばってもトップになれない。
2.同族企業は、不祥事がおきやすい。

まず最初に申し上げたいのは、繰り返し言っているように、マスコミはほとんど真実を語りません。
視聴者や読者が期待しているように伝えるのが、マスコミの大きな仕事です。
私たちは、マスコミの流す情報の向こうにある真実を、自分の力で発見しなければいけないのです。

今は、同族企業を叩くのがマスコミが共有している大前提です。
もちろん、赤福、船場吉兆など、同族経営の会社の不祥事が、今年は目立ちました。

多くの一般市民にとって、一族で富や権力を独占している状況が許せるはずもありません。
視聴者は、「だから同族経営はダメだ」と思いたいし、言いたい。
マスコミも、それに同調して、同属企業を叩く。
そんな構造が見え隠れしています。

ただ、冷静に振り返ってください。
あなたがふだん選んでいる食べ物、洋服、雑貨、薬、車、、、多くの魅力的な製品が、
同族企業から生まれているという事実を、知っておく必要があります。

トヨタのカローラに乗って、サントリーの伊右衛門か伊藤園のおーいお茶を飲み、
風邪をひいたら武田のベンザブロックと大正製薬のリポビタンDと大塚製薬のポカリスエットを飲んで、
着ている服にはYKKのファスナーがついていて、手土産には虎屋のようかんを買って、
よく通っている近所の鮨屋は先代の後を二代目が継いでいませんか?

それらの事実をなかったことにして、「同属企業はダメだ!」と叫んだところで、まったく説得力はありません。

同族企業が悪いのではありません。
悪い同族企業があるだけです。
そして、同族企業にしかできないことが、あります。

同属企業は、大株主である一族がいて、経営者も兼ねているという企業のことをいいます。
逆に、そうではない場合、株主と経営者は別々です。
ということは、いわゆる雇われ、サラリーマン社長です。

サラリーマン社長は、数年で任期が切れます。
その間、株主からは業績を向上させるよう要求されているわけです。

そのときに、「損してもいいから、50年後に実用化される新技術を開発しよう」と思いますか?
その社長にとって、そのようなインセンティブ(動機)が働くことは難しいです。
それよりも、コストを削減し、営業をてこ入れして、即効性のあるヒット商品をつくって業績を向上させたほうが、
社長としては評価されます。

一方、同族企業にとって、自分の子供や孫の代に企業を残していくことは大きな使命です。
家族愛はどんな愛よりも強い。
それが身内びいきにつながる危険も多くありますが、家族の強い愛が、「子孫にいい企業を残す」ための経営につながっていることも事実です。

外資系の脅威にさらされながらも、今の武田薬品の調優良な財務体質を築いたのは、
前社長である武田國男氏の手腕によるところが大きいといわれています。
名前のとおり、武田家の人間です。社員の反対を受けながらも、大きな改革を次々と、飄々と成し遂げました。

創業家の強みは、いろんな人の顔色を伺う必要がないということ。
ふつうの会社では、株主、従業員などが自分の利益を求めて、いろんな圧力をかけてきます。
サラリーマン社長は、彼らに選ばれて社長になったのですから、かれらを裏切る決定はできません。

それを、振り切って、100年後を考えた大きな投資をする決断は、
しがらみとは無縁の、自分の会社だという強烈なプライドがなければなしえません。
つまり、同属企業以外では難しいのではないでしょうか。

巨額の投資を必要とする製薬業界や、ものづくりの企業、アパレルやファッションなど、合理的には説明しづらい美学が原動力になっている企業においては、民主的な意思決定よりも、責任が明確なトップの強いリーダーシップ、10年を超える長期的なが視野必要です。そこにおいては、同属企業のトップのほうが、強いと思います。

船場吉兆の女将が、「父に申し訳ない」と謝罪したのが象徴的でした。
マスコミはこぞって、「客より先に身内に詫びるとはどういうことだ」と彼女を叩きましたが、
吉兆にとっては当然の反応でしょう。

消費者は移り気です。流行や新商品に飛びつき、すぐに飽きます。
そんな目の前の客の一喜一憂には左右されず、自分たちの信じるものをつくり続けるためには、家族的な強い哲学が必要です。
小さいころから、「これを守れ」と言われて育っていなければ、守ることができない価値観があります。

もちろん吉兆の罪は大きいと思います。
消費期限の偽装よりも、その偽装を従業員の責任にしたことは、同族経営としては最も卑劣です。

家族が強い権限を持つかわりに、失敗したら全責任をとるのが、同族経営の絶対的な原則です。
だからこそ、従業員は、その一族についていくのですから。

大きな責任を取るからこそ、大きな権限が集中しているのです。
株主であり経営者である、という権限の集中が、意思決定を早くして、長期的視野の経営が可能になります。
それが同族経営です。

就職・転職をお考えのみなさんは、同族=×という安易な意見には流されず、
その権限と責任の関係、同族経営のメリット・デメリットを考えたうえで、考えてください。
同族経営で、働きやすく、優良な会社はたくさんあります。
posted by career2.0 at 18:37| Comment(0) | TrackBack(1) | 会社のしくみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月08日

就職のための「有報」の読み方A〜役員

どんな役員がいるのか?

前の記事(有報の読み方@)では、社員の情報から企業文化を読み解こうとしました。

今回は役員です。

有価証券報告書には、役員についても書かれています。
役員は、会社の経営陣です。
(役員の肩書きについては過去記事参照)

どのような人たちが経営しているのか知ることで、
会社の性格をつかみ、あなたのキャリアを想像してみましょう。



第4 「5 役員の状況」をみてみましょう。

ここでは、「役名」「職名」「氏名」「生年月日」「略歴」「任期」「所有株式数」
が、記載されています。


●ファミリー企業か?

まず、氏名をざっとみて、同じ名字の人がどれだけいるか見ましょう。

そして、余裕があれば、右端に書いてある、その人たちの持っている株式数もみましょう。
「第4 1株式等の状況 (5)大株主の状況」に大株主が記載されています。
役員、大株主の多くが同姓のファミリーであれば、それは明確にファミリー企業です。

同族経営をしている、いわゆるファミリー企業であれば、必然的に同姓の役員が多くなります。
一般的に、彼らが大株主でもあります。


上場企業にも、いわゆるファミリー企業はたくさんあります。

昨今、ファミリー企業の不祥事が話題になっているので、叩かれやすい存在ですが、
ファミリー企業が一概に悪いとは言えません。

ファミリーで強い価値観を守って、短期的な利益に一喜一憂することなく、長期的視野にたった投資ができます、
数年で交代するサラリーマン社長は、やはり短期の業績が必要ですし、ミスが怖い。
そういう短期の評価を気にしない、企業文化を大事にした経営ができるという、よい側面は、見落としてはいけません。

武田薬品、サントリー、大正製薬、村田製作所、堀場製作所等々、エクセレントなファミリー企業は日本に多数あります。
もちろん欧米にも多数あります。
トヨタも、豊田家を大事にしていますね。

ただ、そういう場合、あなたが入社した際に社長になれる可能性は、低くなります。
そこまで目指していなければ、大きな問題ではありません。

ファミリー企業であるということは、メリット・デメリットを含めて、認識した上で、入社することが大切です。


●年齢

若さは重要です。
若気の至りもありますが、若くなければできないことはたくさんあります。大きな社内改革は、若い風が必須です。

役員がだいたい50代後半より年上なのであれば、やはり年功序列の強い会社だと思います。
やはり若いうちに大きな仕事を任されることは難しいカルチャーだと思っていでしょう。

最近は古い大企業も、若手役員を任命しています。
やはり、このままではダメだ、という危機感の表れでしょう。

会社の人事制度、若手の登用の度合いを一部はかることができます。


●キャリア

役員の略歴があります。
ここではいくつかの会社の事情が明らかになります。

1.外の血を大切にしているか?

新卒で入社した人だけが役員になっている会社があります。
その場合、いくら中途採用をしていても、本質的にはプロパー社員がかわいい、
中途入社組は外様扱いされているというカルチャーがあると思います。
中途で入社を考えているのであれば、そこはチェックする必要があるところでしょう。

2.親会社、大株主の影響力はどうか?

役員の全てや大部分が、その会社の人ではなく、親会社出身者である可能性があります。
親会社の支配力が強い会社です。
その場合、どうしても子会社に入社した社員が役員になる道は険しいでしょう。

3.メインバンクはどこか?

銀行出身者が役員や監査役に入っている場合があります。
過去ずっとその銀行出身者が役員に入っているのであれば、メインバンクとその影響力が分かります。
管理系部門への入社を検討しているのであれば、チェックする箇所です。

4.出世コースはどこか?

役員の出身部門をみるとわかります。
技術系なのか、営業系なのか、メーカーの場合はその二つは大きな
過去の有報から歴代の社長などをみていると、ずっと似たようなキャリアを辿っている場合があります。
それが出世コースと言うことで、若手の優秀な人間(幹部候補)をどのようなコースで育てていくのか、示していると思います。
逆に、冷遇されている部門もあるでしょう。

各部門の存在感・発言力が役員のキャリアから、かいま見えます。

5.役員の任期は?

役員任期があまりに長い場合は、組織が硬直化して、若手に息苦しさを与えている可能性もあります。
逆に短期的な業績に右往左往せずに、企業を育てようという意志が強い場合もあります。

例えば親会社から社長が来ていて2年ごとに変わるような場合は、
短期的な業績志向が強く、短期で目に見える成果は出ないが、長期的な成長のための投資がしづらい可能性があります。

どんな情報でも、いい面と悪い面があります。
最終的には、聞いて、見て確認をするしかありませんが、
有報からある程度、企業文化の可能性を読み取ることもできます。



posted by career2.0 at 02:34| Comment(0) | TrackBack(1) | 会社のしくみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月04日

就職のための「有報」の読み方@〜平均年収など

「有価証券報告書」は、上場企業が毎年発行している、会社の状況や業績など色々な情報が書かれている診断書のようなものです。
誰でも自由に読むことができます。

あなたの志望している会社が上場企業であれば、必ず「有価証券報告書」を読みましょう。
強くお勧めします。


おカタい感じの文書なので、とっつきづらいですが、
読むべきポイントだけを絞って読めば、けっこう色々な発見がありますよ。

まず、「上場企業」とは、いくつかある証券市場で、発行した株式が取引されている企業のことです。
そのためには、企業の審査があり、売上・利益・社内体制などが一定以上のレベルの企業しか上場できません。

その会社が上場しているかどうかがわからなければ、
ヤフーファイナンスで企業名を入力・検索して、企業名が出てくれば上場しています。
http://quote.yahoo.co.jp/

有価証券報告書(以下、「有報」とします)は、企業にとって健康診断書のようなもの。

法律で公開することが義務付けられており、もちろん嘘をついてはいけません。
虚偽記載の事件が時々ありますが、基本的に嘘はないと思ってかまいません。

会社のパンフレットは、たいてい「バラ色」に書いてあります。
当然ですが、いいところだけを書いてあります。
しかし、有報は嘘をつきません。

だから、企業の実態が最もよくわかる資料の一つです。
会社に投資する人々、たとえば投資家、ファンドマネージャーなどは、必ず有報を読みます。
そこから、会社の現在の状態、今後の成長などを読み解くのです。

もちろん就職において、投資家とは見るべきポイントが大きく異なると思います。
ただし、就職する、ということはやはりその会社に、ある種投資するということです。

業績がどんどん悪くなってきている会社に、入社したくはないでしょう?

会社が何を考えて、どういう業績を出しているのか、知るには有報は非常に重要なツールです。


□有報のありか

まず、有報を見る方法をお伝えします。

金融庁のEDINETというホームページで、すべての上場企業の有報を見ることができます。
早速、気になる会社の有報を開いてみて下さい。

http://info.edinet-fsa.go.jp/

このページで、「有価証券報告書等の閲覧」を選んでログインし、
「内国会社」をチェックして、あとは企業名から検索しましょう。
色々と会社が出している資料がありますが、まずは直近の「有価証券報告書」を読みましょう。


□就職(転職)活動で、どこを見るか?

以前、「離職率を知るには」という記事で、有報の見方を一部書きました。


有価証券報告書には、就職の判断に直結する内容も書かれています。

まずは、<第一部 第1 5「従業員の状況」>をごらん下さい。
これは各社の従業員の情報を記しています。役員は含まれません。

「(1)連結会社における状況」

※この項目がない会社もあります。

これは、どの事業に、何人が従事しているのか、わかります。

注意すべきは、「連結会社」という用語で、これは、「子会社も含めて」ということです。
有報は、基本的に、子会社を含めた企業グループ全体を一つの組織として考えています。「連結」とあるのはそういう意味です。

会社パンフレットには、会社の事業として色々なことが書いてあると思います。
とくに、地味な事業よりも、学生受けする人気の事業を前面にだして採用活動をします。
古いタイプの印刷会社が、IT事業を前面にPRしている場合など。

ただ、それだけでは、その事業の本当の位置づけがわかりません。

事業ごとの業績と、人の数を見ることで、その事業が、会社のなかでどれくらいの存在感があるのかわかります。
(業績については今後ご説明します)

「(2)提出会社における状況」

これは非常に重要ですね。
ここには、「従業員数」、「平均年齢」、「平均勤続年数」、「平均年間給与」
が記載されています。


「平均年齢」からは、会社の人数構成を推測します。

ただし、あくまで平均です。
若手からベテランまで、どれだけバラつきがあるのかはわかりません。

例えば、
・25歳が2人、55歳が2人、の会社の平均年齢は40歳です。
・40歳が4人いる会社も、平均年齢は40歳です。

そういった意味で、正確には年齢の分布はわかりませんので、注意が必要です。

ただ、他社の平均年齢と比べることで、組織の若さがイメージできると思います。

「平均勤続年数」では、離職率を推測します。

3年など、あまりに短い会社は、入った人がどんどん辞めていっているということです。
注意すべきポイントです。

「平均年間給与」は、平均年収(月給+賞与)を示しています。

就職活動で、会社が公開している「初任給」は、
「最初にもらう基本給」だけですので、
自分の生活を想像するための情報としては、はなはだ不十分です。

「平均年間給与」は手当や賞与も含めた、総支給額を平均しているので、
入社時のことはわかりませんが、
今後何年か勤めたときに、どれくらいもらえそうなのかがわかります。


これもあただ、くまで平均なので、「平均的な成績」の人がもらえる年収とは違うことを理解してください。

極端な例ですが、5人の組織で、年収250万円の人が4人、1000万円の人が1人の場合、
平均年収は、400万円になります。
その組織で普通の人は年収250万円ですよね。

平均は「普通」を表すわけではないので、注意が必要です。


また、その企業の過去の有報と比較しましょう。

推移を見ると、わかることがあります。

もし採用せず、社員が辞めなければ平均年齢が毎年1ずつ上がります。

その会社がリストラや新卒採用などで、若い層を厚くしているのであれば、平均年齢は下がります。
リストラしたのに、平均年齢が下がらないのであれば、リストラの失敗、若年層の離脱、もしくは中途採用の強化等が考えられます。

各項目の推移をみると、また、他社と比べると、このように企業の組織がどのような状況にあるのか、見えてきます。

有報は他にも見るべきポイントがたくさんあります。
今後、紹介していきます。

また、不明な点は遠慮なくご質問ください。

※関連記事:就職のための「有報」の読み方A「役員」
posted by career2.0 at 19:10| Comment(0) | TrackBack(1) | 会社のしくみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月14日

役員の肩書きについて

たいへんご無沙汰しておりました。今日は会社の役職について、整理します。

時々、取締役と執行役員と専務は誰が一番偉いのですか?」というような質問を頂きます。いずれも「役員」と呼ばれる人たちの肩書きですが、どういう序列なのか、わかりませんよね。

たしかに色々な役員の肩書きがあり、それも会社ごとに微妙に違います。特に就職活動中の学生さんにとっては、すっきり理解するのは難しいでしょう。そこで、会社の役員の役職・肩書きについて、もう一度整理したいと思います。

役員の役職名は、原則的には、「役職×肩書き」の組み合わせになっています。

【1.法律で定めなければいけない会社の役職】
 ・代表取締役
 ・取締役
 ・監査役
【2.会社で自由に決めてよい肩書き】
会長、社長、副社長、専務、常務、相談役、名誉会長、顧問、、、

実際は、「1+2」つまり「1で決められた役職者に、2の肩書きを追加する」のが、通常の組み合わせです。

例えば、
「代表取締役社長」
「取締役副社長」
「専務取締役」
という役職は、上記の1と2の組み合わせですね。

もうすこし詳しく説明します。


1.法律に従ってつけられる役職

まず、株式会社には、法律に従って、必ず置かなければいけない役職があります。
それが、「取締役」です。この人たちが世間で「役員」と呼ばれる人たちです。

世間で「あの人は○○社の役員だ」と言われている人は、たいてい「取締役」です。(例外もあります。後で説明します)

会社の経営についての大事な意思決定は、取締役の集まる「取締役会」で行います。

取締役の中で一番偉い、会社の代表として責任を負っている人を、「代表取締役」と言います。
代表取締役は1人でなくてもかまいません。2人以上いる会社もあります。

基本的に、会社の「役員」と呼ばれて、会社の「経営陣」とされるのは、「代表取締役」と「取締役」の2種類の人々です。

また、役員の仕事ぶりをチェックする人を「監査役」と言います。
そういう意味では重要な仕事ですが、率直に言って経営の中心、権力を持つ人ではないケースがほとんどです。

「代表取締役」「取締役」「監査役」。
法律では、この3種類の役職については、決めるよう規定されています。
残りの様々な名称は、実は会社が勝手に名づけているだけの肩書きなのです。


2.会社で決める肩書き

社長、副社長、専務、、、、色々な役職がありますね。
それらは、ふつう「取締役」の序列をつけるため、役員の役職に加えて、会社が自由に決めている肩書きです。

だから、つけなくてもいいのです。「社長」のいない会社もあってかまいません。単なる「代表取締役」や「取締役」の人もいます。

一方で、「代表取締役社長」や「常務取締役」といった肩書きがついている人もいます。
(逆に、取締役ではない「社長」「専務」という人も、いていいのです。滅多にいませんが)

大きな会社では、役員の数も多いので、役員の中での役割分担と序列づけのために、肩書きをつけていきます。

以下に、一般的な序列と内容を説明します。繰り返しますが、会社が勝手につける役職なので、以下のような使用方法とは全く違う会社もあります。あくまでよくあるパターンということで、偉い順に書きます。

「会長」
「代表取締役会長」と「取締役会長」の場合がある。
通常、社長を終えて会長になるケースが多い。強い権限を持っている場合と、実際はほとんど社長に任せている場合がある。

「社長」
会社の代表で責任者。だから「代表取締役社長」である場合がほとんど。ただ、たまに「取締役社長」という人もいます。事情により法律上の代表権を与えられていないということです。

「副社長」
社長の次。「取締役副社長」がほとんど。
ときどき「代表取締役副社長」として、「代表取締役社長」と並んで共同で代表をしているケースもあります。

「専務」
副社長の次。副社長がおらず、社長の次の序列で専務がいる会社も多い。たいてい「専務取締役」となっている。

「常務」
専務の次。たいてい「常務取締役」となっている。

以上が、通常の役員についている肩書きです。

そして、肩書きがついていない、単なる「取締役」を「ヒラ取(ひらとり)」と呼びます。これは取締役の世界でのヒラという俗語なのでもちろん面と向かって言ってはいけません。

また、銀行は一般に、社長にあたる肩書きを「頭取」、副社長を「副頭取」と呼びます。

番外:ご隠居

あと、社長や会長が経営の第一線を退いても、取締役でいる場合が多々あります。

その場合、「名誉会長」「相談役」「顧問」「名誉顧問」など、会社ごとに名称をつけています。
取締役を退任して、この肩書きだけをもらっている人もいます。

いずれにせよ、これらの肩書きの人は、かつて経営陣であったが、今は経営の第一線を退いている、という意味に解釈して問題ありません。


番外2.執行役員

最近増えているのが、この「執行役員」です。
これも、会社が自由に定めている肩書きですので、会社ごとにその役割や位置づけは違うでしょう。

昔の日本の大企業は、出世した人をみな取締役にしていたので、取締役の数が数十人と非常に多くなってしまい、意思決定が遅いという弊害がありました。

最近では、本来の役割である「経営の意思決定」を迅速に行うために、取締役の人数を絞りこんで、意思決定を迅速にしようとしています。

その場合、取締役ではないですが、役員待遇の人を「執行役員」と呼ぶ場合があります。

本来の意味では、取締役は経営の意思決定に集中してもらい、一方で、取締役ではない事業の実務を行う責任者のことを「執行役員」と呼びます
執行役員はほとんどの場合取締役ではありません。
取締役の一歩手前にいる人と考えてもらえばいいでしょう。


番外3.米国型の役職

CEO、COOなどの肩書きを目にしたことはありますか?これは米国で主に使われる役職です。

日本の法律ではもちろん定められていないので社長や会長と同じように自由につけてよいの肩書きです。海外展開している企業などは積極的に米国型の役職を肩書きとして使っているケースがあります。

簡単に解説します。

「CEO(Chief Executive Officer)」
最高経営責任者と訳す。企業の最終的な責任者であり代表者。
大企業では会長、それ以外では社長が担っている場合が多い。

「COO(Chief Operating Officer)」
最高執行責任者と訳す。業務執行の責任者であり、CEOを会長が担っている大企業で、社長がCOOである場合が多い。

その他
「CFO」最高財務責任者(Chief Financial Officer)
「CIO」最高情報責任者(Chief Information Officer)
などが日本企業でも時々利用されています。
これら「C●O」は、ある機能の責任者という意味で、自由に使われています。

米国のGoogle社では「CCO」最高文化責任者(Chief Culture Officer)という役職があるそうです。

■まとめ
以上が、一般的な役員(経営陣)の役職・肩書きの考え方です。
イメージだけでもつかめましたか?

基本的には、「代表取締役」と「取締役」に、会社が自由に肩書きをつけくわえている、と理解してください。「代表取締役課長」であっても法律上は全くかまわないということです。

もし「うちの会社はぜんぜん違う肩書きのつけ方をしている」という事例があれば、ぜひお教えください。さらに、最近の大企業の中には、「委員会設置会社」というまた別の統治をしている会社があります。その場合、経営陣の役職・肩書きはまた異なりますので、またの機会に説明します。

また、役員ではなく、社員の役職名について、これは本当に会社ごとに千差万別ですが、またご説明します。
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2006年01月10日

第二新卒とは?

【ご相談内容】
「第二新卒」とは何のことでしょうか?


回答を読む
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2006年01月05日

「契約社員」とは?

【ご相談内容】
「契約社員」とは何でしょう?
正社員とはどのようにちがうのでしょうか?


回答を読む
posted by career2.0 at 10:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 会社のしくみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月02日

離職率を知るには?

【ご相談内容】
企業に応募するに当たって、その会社の離職率を知りたいのですが、どのように調べられますか?
あるいは、どのように判断、分析すればよいでしょうか?


【ご回答】「有価証券報告書を見ましょう」

まず、就職四季報には、3年後離職率が掲載されていますので、それが一番簡単だと思います。

あと、上場企業であれば「有価証券報告書」を毎期発行しています。
そこに、従業員数、平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与を記載することになっています。

有価証券報告書は各社のホームページに掲載している企業もありますし、下記サイトでも見ることができます。
リンク:金融庁EDINET

有価証券報告書のなかの、第一部の「5従業員の状況」という箇所に、平均勤続年数、平均年齢等があり、会社の雰囲気がおよそわかるかと思います。離職率も、平均年齢と平均勤続年数で推測できます。

非上場の会社であれば、ちょっと難しいですね。
面接の際に人事に確認するか、OB訪問などをして人づてに噂を聞くしかないと思います。

有価証券報告書は、会社の経営成績の報告書です。
読んでみると、いろいろな発見がありますよ。
posted by career2.0 at 10:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 会社のしくみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月16日

総合職と一般職の違いは?

【ご相談内容】
これから就職活動を始めるものです。
よく、「総合職」と「一般職」とありますが、その違いはなんでしょうか?


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posted by career2.0 at 11:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 会社のしくみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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