2009年10月01日

なぜコンビニ本部とオーナが揉めているのか?

コンビニ業界の仕事をしたことがあります。
ここ20年で最も成長した業界の一つです。もうコンビニがないと暮らせない、という人も多いでしょう。組織の規模も右肩上がりに拡大してきましたが、今は少し落ち着いています。

最近はコンビニのニュースがたくさん目にとまります。
特に目立つのは、店舗オーナーさんとチェーン本部の対立です。
値引き販売や廃棄について、もめているのが報道されていますね。

それは、コンビニが最近になってルールを変更したから起きたわけではありません。昔からほぼ同じルールでやってきました。
ではなぜ最近トラブルが表に出るようになってきたのでしょうか?

簡単にコンビニ業界について解説したいと思います。
まず前提となるのは、コンビニ業界のビジネスモデルを支えているのは、「フランチャイズ」という仕組みです。

■フランチャイズ

1.お店を経営しているのは、お店のオーナー
チェーン本部(例えばセブンイレブンジャパンやローソンという会社)が、お店を経営しているのではありません。お店を所有・経営しているのは、お店ごとにいる、オーナーさんです。(チェーン本部が直接経営しているお店も一部あります)

つまり、皆さんの町にあるセブンイレブンのお店を経営しているのは、セブンイレブンジャパンではなく、別の会社や個人である(オーナーと呼びます)、ということです。
このことはコンビニを知る上でとても重要です。これが、フランチャイズシステムであり、イオンやヨーカドーなどのスーパーと違うところです。

オーナーは、お店を開くにあたって、セブンイレブンの看板や名前を使ったり、セブンイレブンのシステム(商品管理、物流、スタッフ教育などのノウハウやシステム)を利用することで、自力でお店を開いて運営するよりも効率的に店舗運営ができます。
だから、オーナーは本部に対して、最初は加盟金、その後は売り上げの一部をロイヤリティとして支払います。

セブンイレブン本部は、オーナーに対して、お店の運営のしかたを指導します。

本 部 :ブランド、運営システムをオーナーに貸し、店舗の運営を指導する
オーナー:店を所有、経営する

こういう関係にあるということは知っておいてください。
つまり、本部が全ての店を経営しているのではなく、それぞれの店は独立した会社や個人だということです。

■値引き・見切り販売はオーナーの権限

最近、「値引き販売」について、本部とオーナーがもめています。なぜでしょう?
(「見切り販売」は消費期限に近づいたお弁当などを安く売ることで、値引き販売と同じです)

まず、フランチャイズ制度において、お店はオーナーが経営しています。
そして、独占禁止法の大原則は、「モノの値段は、売る人が決めることができる」ということです。
コンビニで、売る人はオーナーです。

例えば、電器屋で買うテレビは、ソニーやシャープが値段を決めることはできません。
電器屋が値段を決めています。
だから、ソニーやシャープが言っている値段を「メーカー小売希望価格」と言っています。あくまでメーカーの「希望」でしかありません。

コンビニのビジネスでも同じことが言えます。
メーカーが作った商品を、本部の指導のもと、オーナーの店が仕入れて売ります。ということは、売る人=オーナーが、値段を決めることができ、本部は売る値段を決める権限はない、ということです。

本部には権限がないのに、値引き販売を禁じる(具体的には、値引きしているお店には圧力をかけて契約解除する)ことで、公正取引委員会も、「待った」をかけたわけです。

■昔から方法は同じ

ただ、昔から同じようにやってきました。値引きする権限はお店にあるということも、本部もオーナーも昔から知っていました。最近になって気づいたわけではありません。
だから本部も、オーナーに対して「値引き販売を禁止する」と明確に書面で通知したことはありません(ないはずです)。
本部には禁止する権限がないのですから、言えるのは「値引きしないようお願いします」というお願いだけです。
それに、店のオーナーも従ってきました。(一部は値引きの店もありました)。

では、なぜ最近になって急増したのでしょうか?
コンビニをめぐる環境の変化があります。

■昔は値引きしなくても売れた

コンビニの大きな特徴のひとつは「定価販売」です。安売りのコンビニってないですよね。定価で売れるから、利益率もいいわけです。
一方、スーパーやドラッグストアは激しい値引き合戦していますね。

じゃあなぜ定価で売れるのか?

まず第一の理由は、その名のとおり、コンビニエンス(便利)な場所にあるからです。遠くのコンビニって行きませんよね。

次に、ちょうどいい商品がおいていあるからです。
POSという単品管理のシステムによって、顧客のほしい商品を効率的に調べてお店に置くことができます。

■しかし、売上が落ちてきた

「便利さ」 で、人をひきつけたコンビニですが、厳しい環境の中、店の売上が落ちています。特に今期、コンビニ業界は過去にない苦戦を強いられています。理由はいくつかあります。

−不景気
消費者が価格にシビアになってきました。
コンビニは定価で売るかわりに便利さを売ってきたのに、「不便でも安いほうがいい」という消費者が増えた。
近くにコンビニがあるけれど、ペットボトルのお茶が150円。ちょっと向こうのスーパーだと120円で売ってるならそこまで買いに行く人もいる。自分でお茶を作って水筒で会社に持ってくる人もいますよね。
そこで最近はコンビにもPB商品をつくって値下げ競争に参加しています。当然売上は落ちてきます。

−コンビニ同士の競争
いま日本にあるコンビニは4万店を超えます。だいたい3000人に1店と言われていますので、日本にはほぼ満杯まで店ができた、ということでしょう。
それまでは、コンビニはエリアに一つだったのですが、複数あります。コンビニはチェーンが違っていても、基本的な商品が重複していますので、差別化が難しい業種です。(サントリーの伊右衛門は、あらゆるチェーンのお店にありますよね)
近くにローソン、それより向こうにセブンイレブンがある場合、それでも遠くのセブンイレブンに行こうとする人は少ない、やはり近いほうにいく、という傾向の強い業種です。
(※車で行くロードサイド店はまた別です。その場合、「入りやすさ、出やすさ」が、「近さ」以上のファクターになります)
同じ商圏に2店、3店が競合してきて、売上の維持が厳しくなってきました。

−他業種との競合
24時間スーパー、24時間弁当屋、薬以外の商品も多数扱うドラッグストア、これらは最近メキメキと力をつけている業種です。
そのどれもコンビニにとっては十分脅威となっています。あとは牛丼、中華料理などの低価格外食産業も厳しい競合です。

■売上が落ちて、仲間割れがはじまる

「値引きするな」と、昔から本部は言ってきました。
それに従ってきたのは、値引きしなくても日販50万円など、十分に売れたからです。

売上−仕入れ価格(※)=粗利です。 
(※廃棄分を除く仕入れ価格。これがオーナーを苦しめる制度です)

コンビニは、粗利をオーナーと本部で分けます。
一日の売上が約50万なら、粗利は約15万円です。
その程度であれば、お互いが潤って、特に不満もありません。

売上が落ち、その関係が変わってきました。
廃棄を負担するというコンビニの独特の会計方法によって、売上が落ちたときに、オーナー側の取り分のほうが大きく減ります。
本部は売上と利益が減るという程度です。一方、オーナーは一気に赤字転落というケースが出てきました。
オーナーは個人か小さな会社であることがほとんどですから、赤字が続くと会社がつぶれたり、借金が増えて自己破産するというケースもあらわれてきます。

■問題の本質は値引きではなく、「取り分」の偏り

本部が黒字でオーナーが赤字という状況が、多くのお店で起きれば、必然的に「粗利の分け方」そのものに不満が出てきます。
そこで、今回の値引き販売の問題が発生しました。
値引き販売することで、オーナーの取り分を確保しようという動きです。
コンビニの会計方法であれば、廃棄するよりも安く売ったほうがオーナーの取り分は増えます。
つまり、値引きそのものよりも、問題の本質は「粗利の取り分」をめぐる本部とオーナーの争いです。

■今後の方向性

現実的に一日の売上が40万円(※)を切るようになると、オーナーさんが利益をとっていくことが困難になります。
(チェーンごとにいろんな契約のタイプがあるので、一概には言えませんが)

そして、どんなビジネスでもそうですが、「片方だけが儲かっている」という状態が続けば、関係は崩れます。
そうなれば、その関係をやめてしまうか、お互いの取り分のルールを変えるしかありません。

◎「取り分」を変える
他の業界と同じように、今後コンビニの売上が飛躍的に伸びることはありません。
以前に比べて低い水準の売上で、本部とオーナーが共存できるように取り分を分けるルールを作りなおす必要があります。
ロイヤリティ(本部側はチャージと呼びます)会計の変更です。

以前より売上が落ちたといっても、一日1000人近い客を呼び、月に1000万円以上売れる業態はそれほどありません。
つまりコンビニそのものは力のある業態ですから、やめるのではなく、
オーナーの負担を減らすために、本部とオーナーとの粗利の分配方法を変えていくことになるでしょう。

粗利にかかるロイヤリティを下げる、廃棄を一部補填する、といったルール変更は、この流れに位置づけられます。

◎地域別、店舗別の多様化
いまやコンビニは地域のプラットフォームです。
お弁当屋であり、文具屋であり、書店であり、銀行であり、宅配業者であり、クリーニング屋でもある、
という非常にユニークなビジネスモデルを生み出してきました。

今後、全国均一のチェーンストアから、今後は立地に応じた個店ごとの店づくりが重要になるでしょう。
予想される方向性としては以下のものがあります。

・異業種との提携加速(外食、ドラッグストア等)
・PB商品、独占販売商品の拡充、割安感の訴求
・食品の安全、地産地消の推進
・24時間営業の見直し(深夜不採算店の時間営業化)
・通販と連動した受取機能の強化
・宅配サービスの拡充

いずれにせよ、既存のコンビニの業界を超えて、隣の業界のビジネスを奪いに行くような戦略にならざるを得ません。
コンビニ対ドラッグストア、コンビニ対スーパー、という闘い(と同時に連携も)が今後加速していくことは、間違いありません。
posted by career2.0 at 14:34| Comment(1) | TrackBack(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月08日

「社会起業家」は存在しない

■メディアをにぎわす「社会起業家」
おそらく「社会起業」や「社会起業家」は、今後数年間、マスコミをにぎわすキーワードでしょう。
雑誌やWebでの「社会起業家特集」も多く、「社会起業家になりたい」という若者も多いですし、「社会起業家を支援したい」という人も急増しています。
以前から、福祉や教育についての企業は多くあり、NPOも増えていますが、若くて優秀な人が事業を通じて社会問題を解決しようとする姿勢が注目されているのでしょう。
「著名な社会起業家」、「日本を代表する社会起業家」と呼ばれる人も出てきています。
背景には、「経済的成長」への懐疑があると思います。
今後おそらく起業や出世で大儲けすることができない。だとすれば「社会的な尊敬を得る」ほうが「成功」じゃないか、という価値観の変化が、若い世代を中心に見て取れます。
成熟した日本社会で価値観が多様化することは不可避ですし、歓迎すべきことだと思っています。

■「社会起業家」とは誰か?
では、社会起業家とは、どんな人なのでしょうか?
よく言われるのは、「社会問題を事業を通じて解決しようとする人」だということです。
彼らが運営する企業・組織は、「社会的企業」や「ソーシャルベンチャー」と呼ばれています。

だとすれば、彼らが解決しようとする「社会問題」とは何でしょうか?

メディアを見る限り、主に教育、環境、貧困、福祉といったテーマで会社を起こし、継続している人が「社会起業家」と呼ばれているようです。

彼ら「社会起業家」と呼ばれる人たちのチャレンジとこれまでの苦難の道のり、これまでの実績には賛辞を惜しみません。
彼らの存在によって、多くの人が「助かった」と感じているのであれば、すばらしい事業体であることは間違いありません。

■「社会起業家」という言葉への疑問
ただ、疑問もあります。「社会起業家」という言葉についてです。
以下のようなケースについて考えてみます。

1.病気の子供の遅れがちな教育をサポートする企業を立ち上げた人は「社会起業家」と呼ばれるでしょう。
一方で、その病気の子供を治療する新薬を開発している創薬ベンチャー企業の社長は「社会起業家」とは呼ばれません。

2.過疎地の高齢者に食料品を届ける企業が社会的企業と呼ばれても、その物流を支える地元の運送会社はそう呼ばれません。

3.操作性のよい車椅子を開発する企業は社会的企業と呼ばれるでしょうが、乗り心地のよい自転車を開発する自転車メーカーはそう呼ばれません。

4.老人ホームに、おいしく体にいい中華料理を届ける企業があれば社会的企業と呼ばれるでしょうが、町で一番美味しく長年地元の人に愛されてきた中華料理屋はそう呼ばれません。

5.森の間伐材を使って家具をつくる人は社会起業家でしょうが、子供が勉強に集中しやすい学習机を開発した人はそう呼ばれません。

上記のどの企業も「いい仕事をしている」と思いますが、メディアによれば一方の経営者は「社会起業家」、一方は「普通の社長」です。
なぜその違いが起こるのか、明確に教えてくれる文章に出会ったことがありません。

■「社会起業家」と「ふつうの起業家」の違い
全ての事業は、社会に不満や課題、ニーズがあり、それを解決するべく存在しています。
そこで独自性を発揮し、継続性のあるビジネスモデルを開発した事業が、生き残ります。
そこにおいて、社会起業家も一般起業家も全く相違ありません。

社会起業家は、利益よりも社会の問題解決を事業の第一目的に置いている、そこが営利企業との違いだという意見もありますが、それは一般企業が利益だけを考えているといっているに等しく、非常に雑な議論です。

ただお金儲けだけをしたい起業家など、滅多にいません。
事業を成功させたい、その一心で日夜、寝食を忘れて格闘している起業家がほとんどで、「お金がほしい」だけであれば、決して長続きしません、というか割に合わない職業でしょう。

ビルゲイツはただお金持ちになりたくてマイクロソフトをつくったのでしょうか?最高のソフトウェアで世界を変えたいと思ったんじゃないでしょうか?Googleは、アップルは、トヨタは、創業者は社会を変革しようと思っていなかったのでしょうか?
「社会を変える」を意識しないはずはありません。社会を変えようとして成功したからこそ、彼らは尊敬される企業になったのでしょう。

ただ、現実的には教育、環境、福祉、貧困などのテーマにおける、株式会社の起業や、ちょっとユニークなNPOの立ち上げを「社会起業家」とみなす傾向があります。
逆にそれ以外で、ユニークな企業は、社会起業家とは見なされません。

極端な例かもしれませんが、
ある地方都市で、「この町においしいイタリア料理屋がないことは、大きな問題だ」と考えた人がいたとします。
その人が、地元の素材をつかったおいしいイタリア料理屋をつくり、地元住民に支持されて繁盛したとします。
このオーナーは、自分が考えるその地域の問題を、自分なりの方法で解決した人です。
でも、「社会起業家」と呼ばれることはありません。

■「社会起業家」は存在しない
「社会の問題を解決したいと思って起業する」人がいることは素晴らしいし、応援したいと思います。
ただ、教育・貧困・環境・福祉などの問題を解決する人が「社会起業家」であって、
それ以外の社会の課題を解決しても「社会起業家」とは呼ばれないのであれば、
「社会起業家」という言葉が示している「社会」や「社会問題」って、ものすごく小さい範囲の「社会」でしかありませんよね。

例えばユニクロは、日本人のカジュアル衣料に対する価値観を変えたと思います。
多くの人が「ユニクロがあって助かった」と思っているでしょう。
柳井社長が「社会起業家」と呼ばれることはありませんが、社会へのインパクトははかり知れません。

「社会起業家」になりたい、という意見をよく聞きます。
そういう意見を言う人には、私は上記のような議論をぶつけてみます。

■「社会起業家」は職業ではなく評価である
いま、社会起業家と分類されている方々も、決して「社会起業家になりたい」と思って起業したのではないでしょう。
彼らは「この問題を解決したい!」と強く思い、そのために事業や組織を興し、それが軌道に乗ったあとに、
マスコミや周囲が勝手に「社会起業家だ」と分類しはじめただけです。
社会起業家は「なろう」としてなるものではないのです。


NPOでも社会的企業でもその他の営利企業でも、全てのすぐれた起業家は、社会にインパクトを与えます。
起業家はすべて、ITでも、飲食でも、教育でも、福祉でも、自分がやりたいと思う領域で「社会を変える」「社会をよくする」ことを目指す、そしてそれを継続的に成長させる存在です。
それが成功した企業を「すぐれた企業」、リーダーを「すぐれた起業家」と呼びます。
その前提で、起業のうち、「社会」と「非社会」を区分する境界がどこにあるのか、そしてその区分に意味があるのか、意味があるならどのようなものか、私には理解できませんし、
「社会起業家になりたい」と語る人の「社会」や「起業家」が何を示しているのか、社会起業家志望の人から明確な回答を得たことがありません。
本当は存在しない「社会起業家」を無理に作り上げることで、社会起業家とは呼ばれなくても、それぞれの分野で汗をながして起業している方々の社会性や社会への思いが無視されるのであれば、
社会起業家などという言葉は必要ない、むしろ使うべきではないと思います。
posted by career2.0 at 13:17| Comment(6) | TrackBack(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月04日

不況期に何をするか

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
昨年後半は、私も本業で大忙しでした。多くの企業が、非正規社員の契約解除、採用内定の取消、正社員リストラ、採用計画の見直し、といった組織のダウンサイジングへの取り組みをせざるを得ませんでした。

企業の社員は、新たな可能性を求めて転職するよりも、今の会社にどうやってしがみつくか、
学生は、新たな可能性を求める成長企業よりも、潰れない安定企業にどうやって入るか、
という視点で、自分のキャリアを考えるようになるでしょう。

それは仕方ないことですが、もう少し視点を変えてみましょう。

不景気は常にチャンスです。
そう考えるべきです。

いま、多くの企業がダウンサイジングをしています。
端的に言えば、人を減らして、自分達の企業の売上、付加価値に対応したサイズまで、組織を小さくします。
それはリストラという悲しい一面をもちながらも、私たちにとって決して災難ではありません。

組織がムダを省き、贅肉をそぎ落とした状態であれば、景気が上向いた時に、採用をはじめやすくなります。

かつて、景気が上向いても、「団塊の世代が多くいるので、それが退職するまで、若い人を増やせない」という状態がありました。
次に景気が回復すれば、その心配はなく、当時よりも売上の拡大にあわせて人を採用しやすくなります。
今後の景気次第ですが、数年前の景気回復とは大きな違いだと実感しています。
そして、誰が見ても「あまり働いていない人」がたくさんいて、若い人を増やせない状態よりは、よほど健全だと思います。

みなさんご自身も生活レベルで、そうやっているでしょう。
収入が減ったら、外食を減らし、携帯電話の料金プランを見直し、家賃の安い場所に引越し、タクシーの利用を減らし、家の中の売れるものは売ってしまいます。
そうして、ムダを省いた暮らしを続けるなかで、収入がもし増えたときに、十分に吟味して、本当に必要なものを買うことができるはずです。
収入が高くてもムダだらけの生活のなかでは買えなかったものを買うことができるはずです。

組織は生きものです。定期的な新陳代謝が必要です。新陳代謝を繰り返して、不要なものを削り、必要なものを取り入れる。
景気が良かろうが悪かろうが社員の雇用を守り続けるのが社会的責任だ、という感情的な議論は、残念ですが現実的ではありません。

景気は循環します。もちろんいつ景気が上向くか誰もわかりません。
そして、過去のどんな不況の時も、いつ景気がよくなるのか知っていた人はいません。

景気の下降局面で、したたかに実力をつけて、いずれ景気が上向いた時に必要とされる人材になっているのか、
それとも、会社にしがみつくこと、安定した会社に入ることに熱心になりすぎて、
景気が上向き、新しい競争が始まったときに、使えない人材になっているのか、

簡単なことではありませんが、バブル期の「真面目にやらなくても同期で給料が一緒」という時代より、健全な時代ではないかと思っています。
今年も、皆さんの就職・転職を当ブログで応援していきたいと思っています。
よろしくお願いします。
posted by career2.0 at 02:29| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月15日

企業選び2.0

【華麗なる一族の時代】

高視聴率をとったテレビドラマ「華麗なる一族」は、50年代〜60年代の産業界の中心にあった銀行業と鉄鋼業を舞台にしていました。自動車メーカーは全く登場しませんでしたね。
それもそのはず、多くの自動車メーカーは財閥とは関係ない家族的な町工場からはじまった会社で、格下の業界でした。だから、多くの優秀な学生も銀行や鉄鋼業に入り、自動車は真っ先にいきたい業界ではありませんでした。94年、経団連会長にトヨタの会長が就任するという日を、当時の誰もが想像できなかったことでしょう。
今では、日本一の企業と言えば多くの人がトヨタを挙げます。自動車は世界において日本を代表する産業で、就職でも人気です。

70年代、ダイエーの中内社長は経団連の要職を勤めたいと主張しましたが、「小売業の分際で」という雰囲気の中、挫折したと言われています。その後、東京電力の平岩氏が会長を勤めた際、副会長に就任しました。いまだに小売業・サービス業から経団連の会長は出ていません。

【華麗なるインターネットの時代】

10年前、いや、もっと最近のことです。
多くのインターネット企業が勃興し、ヤフージャパンの株価は1株1億円を超えました。
「インターネット革命」、「ドットコムショック」とよばれ、ビジネス、生活が根本的に変化する、と言われました。
当時、一流のコンサルタント、エコノミスト、評論家が、こういうことを言っていました。
「インターネットによる直接取引が増え、商社はなくなる」
「eラーニングが活発化し、教室を持つ教育産業は衰退する」
「日本企業のタテ型の官僚組織が崩壊する」
「会社に通うという概念がなくなり、在宅型の自由なワークスタイルが増える」
「オンラインショッピングが日常となり、スーパーや百貨店がなくなる」
「国境がなくなる」・・・
一部は実現し、一部は実現していません。

当時、多くの優秀な若者はインターネット関連のビジネスを創業し、ビットバレーというコミュニティもできました。また、大手ネット企業に多くの若者が就職しました。

しかし、ライブドア事件以降、インターネット企業や新興市場に対する世間の目は冷たいと言えます。実体がなく、ほとんど死に体となっているネット関連の上場企業もあります。一方でユーザーの信頼を獲得して、大きな利益を上げているネット企業も多くあります。

インターネットは本当に革命を起こしたのか?
と言われると、正しくもあり、間違ってもいるようで、結論はわかりません。

インターネットは、多くの人にとって、一つの重要なツールになったということは間違いありません。私自身、ネットでこのように皆さんとつながることができ、恩恵を多く受けています。ただ、インターネットはコミュニケーションや情報収集の道具を一つ増やしただけなのか、それとも生活を一変する革命であったのかどうかは、100年後の歴史家が判断すべきことでしょう。

【華麗なる評論家の転身】

ただ、はっきりしていることがあります。「インターネット革命がおきる」と言っていたコンサルタントや評論家は、今では、「これからはBRIC'sだ」とメディアで言っています。「ネット技術や知的所有権でアメリカに遅れをとるな」と言っていた学者は、今では「日本は得意とする“ものづくり”に返れ」と主張しています。

現在、資源価格の高騰で総合商社の業績が軒並み堅調です。資源を持たない日本にとって商社の存在がますます大きくなっています。「商社がなくなる」と言った学者は、当時の発言について何も責任をとっていないどころか、検証すらしていません。

商社以外にも、鉄鋼業界や石油業界といった、ネット革命によって旧社会のビジネスの象徴のように言われた企業群の存在感も増しています。

【業界2.0】

産業界の図式は、「インターネット」か「旧態依然の重厚長大ビジネスか」、という二項対立ではなく、ネットやITなどの新しい勢力が登場しつつ、重厚長大産業も必死に戦っている、混沌とした産業界になったということです。それぞれが世界中の企業とも戦わなければいけない、戦っているうちに中東のオイルマネーが日本を飲み込むかもしれない、とにかく乱世です。

ここにおいて、「どっちの業界が格上か」「どっちの企業が格上か」という経団連的なヒエラルキーを前提にした議論そのものが通用しない時代になったということは明白です。

例えば金融・化学・流通・製薬など、多くの業界で、しのぎを削ったライバル関係にある企業同士が合併しました。
第一勧銀か富士銀行か?三共か第一製薬か?明治生命か安田生命か?スクエアかエニックスか?コニカかミノルタか?
どっちに入社すればいいんだろう?と悩んでいた学生さんの苦悩は、徒労に終わってしまいました。
企業について真剣に比較するプロセスには意味がありますが、格上/格下で選んだのであれば、それはやはり徒労でした。

あるいは、業界2番手と3番手の企業から内定をもらい「やっぱり上のほうがいい」と思って2番手に入社したものの、3番手と1番手の企業が合併してしまい、3番手企業に入っていれば、今ごろ業界トップの社員だったのに、と悔やむ人もいます。

つまり、企業を選ぶときに、週刊誌のランキングが意味を失いつつある時代だということです。

「2.0」と言っている意味は、そこにあります。
業界間、企業間の上下のヒエラルキーは、極めて脆いものになりました。
では、企業の将来が誰にもわからない中、何を基準に企業を選べばいいのでしょうか?

はっきりした答えは私にもわかりません。

【企業選び2.0】

「企業が重要ではない。自分の実力を磨いて、いつでも転職できるようにすべきだ」という意見もある一面では正しいですが、それは強者の論理だと思います。そんなに労働市場でガチンコで勝負できる人も、多くはいません。

ほとんどの人は、企業と命運をともにします。だから「どんな企業に入っても、実力さえあればなんとでもなる」という大雑把な議論をするのも避けたいと思います。

ランキングは他人の判断です。それが意味を失いつつある以上、自分自身の企業の選び方が問われています。この混沌とした時代のなか、キャリア・企業選びを一緒に考えていきましょう。
posted by career2.0 at 19:40| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月31日

「市場価値」って何?

「市場価値」なる言葉をよく目にしますよね。

「あなたの市場価値を算定します」という転職エージェント会社のサービスは無数にあります。
私は試しにいくつか算定したのですが、会社ごとに算定結果が全然違っていて、最高額と最低額で2倍近くの年収差がありました。
そして、どちらも、その時の年収とは異なりました。
まず疑問に思うのですが、各社バラバラな結果がでるようなものが、「市場価値」と呼べるのでしょうか?

そもそも「市場価値」というものが当然あるという前提でなされる議論には、怖いものを感じます。
市場価値なんてものが本質的には幻想だと思いますし、仮にそれを大雑把に算定できたとしても、入社後の評価とはあまり関係ないと、経験的には思っているからです。

私は、就職(転職も含む)は、結婚のようなものだと思います。
要するに、最終的な満足は、「条件」ではなく「相性」の問題だと思っているからです。

たとえば、
「容姿がいい」「話が面白い」「教養がある」「スポーツができる」「資産がある」・・・・

これらは、いい「条件」です。
ただ、これらの条件をいくつ集めても、「結婚して幸せになる」ことと、本質的に直接の関係はないとおもいます。

(お金さえあれば他には何一つ求めない、という人が、お金だけ持っていて他に何の魅力も感じない人と結婚しても幸せにはなれないということです)

これらの条件は、結婚する際の評価する条件の一部であり、
すなわち異性に「結婚して幸せになれる可能性が高い」と思わせる要素です。
結果、結婚を前提とした出会いの件数が増え、結婚相手の選択肢を増やしていく要因にはなります。

つまり、これらの条件を持っている人は、選択肢が増え、交渉を有利に進めることができるわけです。

これらの各種の条件を満たしている度合いのことを、就職や転職では「市場価値」と呼んでいます。

これらの条件は、評価基準の一部ですが、評価そのものではありません。
繰り返しますが、「容姿がいい」「学歴が高い」「収入がいい」という条件をいくら足し合わせてみても、
結婚して幸せになれることを保証してくれるものは、どこにもないのです。


つまり、これらの「部分(≒条件)」をいくら足し算しても、「全体(≒幸せ)」にはならないということです。

労働市場において、この「部分」を市場価値と呼んでいるに過ぎません。

人材エージェントのやっている、「市場価値算定」のサービスは、
結婚におき換えて言ってみれば、
「容姿がいい」「学歴が高い」「収入がいい」という条件を得点にして足せば、
「この相手と結婚して、どれだけ幸せになれるかがわかる」、
と言っているようなものです。


「学歴がいい」「職歴がいい」「英語ができる」・・・
これらは、就職や転職において、選択肢を増やし、交渉を有利にするための道具です。

交渉が終わり、入社したあとは、全く違う観点であなたは評価されます。
それは「仕事ができるか」「仕事で成果を出しているか」という、
極めて当たりまえの結果評価です。
もちろんその結果評価によって、あなたの年収は決まります。

それは、その組織のルールの中で、その組織の基準に照らしてどれだけ結果を出しているか、
という観点での評価であり、
残念ながら、交渉の際に使った道具達が、意味をなしません。


就職活動と仕事で評価基準が変わるので、
アピールするポイントを切り替えることが重要なんですが、
残念なことにその切り替えができない人が多いようです。

特に、自分が仕事ができない、という客観的評価を受け入れられない、
MBAホルダーの多さには驚きます。
MBA=仕事ができるのだから、そんな自分を評価しない会社が悪い、という視野の狭い意見です。

資格の足し算で「市場価値」を決める安直な議論は、行き過ぎるとこんな間違いを生んでいます。

「市場価値」には、実態がありません。
その会社でどれだけ成果を出せるかを、市場価値は表していません。


そのことを、経験ある採用担当者は知っていますし、算定しているエージェントもわかっています。
あとは、あなた自身が「あなたの市場価値を算定します」という謳い文句に振り回されないことだけです
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2006年01月15日

「相手のある話」

ビジネスの現場で、よく使われる言い回しに、
「相手のある話だから」
というのがあります。

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2005年12月28日

人の景気回復がやってきた

人件費は、企業にとって、ほかのコストとは大きく異なるものです。

金額のインパクトは大きいにもかかわらず、
いくら給与を払っても、人の能力を会社の所有する資産にすることはできません。
また、期待と違うからといって、クビにしたり、給与を簡単に下げることもできません。


それゆえ、企業は人件費を増やすことに対しては、極端に慎重に対応します。

だから、人材への投資は、企業が業績を回復したからといって簡単にできるものではありませんでした。

その流れが、ようやく変わってきました。

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